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「今日1日、あんたのことを見ていてわかったが」  授業が終わり、自室へと帰ると。  獣姿から人間姿へと変わったレヴィンは、我が物顔でセシルのベッドに腰かける。 「あんた……本当に友達1人もいねえんだなあ」 「うるさい!」  セシルは怒りがとっくに臨界点を突破している。  今日はレヴィンのせいで散々、恥をかいたのだ。これで怒るなという方が無理だろう。 「部屋に帰ってくるなり人間になるな、僕のことを馬鹿にするな、僕のベッドに勝手に座るな!」 「おー。よく喋るな。俺だけが唯一の話し相手だもんな」 「うるさいうるさいー!」  セシルは真っ赤になって怒鳴った。 「お前のせいで今日、僕がどれだけ馬鹿にされたと思ってる! お前ときたら、花壇の土を掘り返すわ、僕の教科書を引きちぎるわ、蝶々を追いかけて走り回ってるわ……僕に意地悪するためだけに、犬のふりなんて、そんなことをして楽しいのか!?」 「俺がわん公する度に、あんたが周りから大笑いされて。いやー、楽しかったな」 「この……! 性格破綻者! 根性ねじ曲がり!」  怒りのままに手を振り上げるが、その手はあっさりと受け止められてしまう。 「……二度も叩かせるかよ」  に、と笑みを深めて。  レヴィンはセシルの手を引っ張り、体を抱き寄せた。硬直する少年の耳元で告げる。 「これ以上、笑い者になるのは御免だろ? ここらで降参しちまえよ。あんたが俺のものになれば、犬のふりはやめる。主従契約だって結んでやる」  セシルは怒りとは別の感情で、頬をぽっと染める。  ……と。  がん!!  鈍い音が響き渡った。  レヴィンが顔を青くして、その場に崩れ落ちる。セシルがレヴィンの体を足で蹴り上げたのだ。 「てめえ……!」 「なるほど。妖魔(ジン)金的(そこ)は弱点なのか。覚えておこう」  涙目で痛がっているレヴィンに構わず、少年はぷいっとそっぽを向いた。

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