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屈折した大翔への感情

 僕は神崎(かんざき)大翔(はると)が大嫌いだった。    あのみんなに愛されてる感じ。    美の化身と言われるルキの膝の中で、無垢な目をしてテレビカメラを見つめる視線。    学校に普通に通い、αとして輝かしい未来があるのを信じて疑っていない。    同じヴォワ・ラクテのメンバーの息子として産まれてきた僕、川上(かわかみ)希夢(のぞむ)とは大違いだった。  Ωの僕を心配して、学校に行かせてもらえない。  パソコンもダメ、スマホも買ってもらえない。  できるのは、テレビを見ることと、ゲームをすること、音楽を聴くことだけ。  こんな僕に特技なんかあるはずない。 「素敵な目の色をしてらっしゃいますね」  使用人になったΩやβたちはみんな、僕の青い瞳と茶色の髪、白い肌を褒めるけど、クオーターなのもコンプレックスだった。  父のレンが番にした僕を産んだ父親がハーフだったらしいけど、背がすごく低くて、父は188センチもあるのに、僕は背が全然伸びない。  一歳年下の神崎大翔はどんどん背が伸びている。  176センチの父親のルキを超すのではと言われていた。  母親がすごく背の高い人だったらしい。  そんな事も僕が神崎大翔に嫉妬する理由だった。  けど、世間の風は冷たい。  世間はαに優しく、Ωに冷たい。  僕は父親の前では完全に良い子ぶってる。  そうしないと生きていけないのを知ってるからだ。  きっと父は僕の本心を知ったら驚くだろう。  番だった幽が俺に懐いてくれなかったと父は酔った時にぽろっと言った。  僕もそうかもしれない。  本心を隠して、無邪気な子供を演じてる。  世間では幼すぎると思われるような口調で、父の関心を惹こうとする。  けど、普通に成長した18歳だった。  4歳の時、ルキさんが酔っぱらって父が家に連れてきた。  その時に明け方に起きたルキさんと話して、家のパソコンの起動の仕方をこっそり教えてもらった。  幽の名前と誕生日がパスワードらしい。スマホもそうだって。  使用人たちは、父が出かけた後パソコンを起動させていろんな情報を見ている僕を見なかったことにしていた。  ウェブ上は僕の知らない情報がたくさん書き込まれていた。

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