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第2話
「まぁ…選択肢は2つ。一家心中するか、きみがその身体を売るか」
そいつは容姿にピッタリな、細くて長い指を2本立てて呟いた。
「俺が行かなければ…一家心中…」
ぽつりと呟くと
「まぁ……助けてくれる人が居るなら、別だろうけどね」
小さく笑うそいつに、俺は覚悟を決めて
「どうすれば良い?」
そう呟いた。
「え?」
「どうすれば、俺がそいつのモノになるんだ?」
真っ直ぐに長髪の男を見て言うと、彼は小さく笑って
「きみのような坊ちゃんが、耐えられるかな?」
って呟いた。
俺はそいつを睨み
「それしか方法が無いから、あんたは俺にその話をしたんだよな!」
と叫んだ。
そいつは俺と暫く睨み合い、小さく笑うと
「OK。今、中で赤司様ときみのお父上が話し合いをしている。そこで、赤司様に『貴方の養子になる』と言えば良い」
と呟いた。
俺は頷くと、玄関を開けて中へと入った。
その時、突然腕を掴まれて唇を奪われる。
両頬を挟まれ、唇が重なると唇を割って舌を差し込まれた。
驚いて抗議しようとした隙に、舌を奪われて絡め取られて口内を犯される。
あまりにもキスが上手くて、気が付くとそのままキスを受け止めていた。
ようやく唇が離れて、うっとりとその綺麗な顔を見つめていると
「せめてファーストキス位は、あんな奴に奪われたくないだろう?」
そう言って、俺の頬にキスをした。
(あぁ……あいつの養子になるって事は、そういう事なんだ)
改めて、自分の置かれた状況を認識した。
そしてゆっくりと立ち上がり、俺はランドセルを下ろして唇を手の甲で拭うと
「家族を守る為なら、俺はなんだってする」
そう呟いた。
そんな俺に背後から口笛を吹くと
「お前のその目、気に入った。俺はアキラ。多分、お前に全てを教える立場になると思う」
そう言って手を差し出した。
俺はアキラを真っ直ぐ見つめ
「俺は光輝…柘植光輝です。よろしくお願いします」
と言って、手を握り返した。
「光輝…。お前は赤司様に身体を売った瞬間から、ただの『光輝』になる。それを忘れるな」
厳しい瞳でアキラに言われ、俺は強く頷き客間へと足を運んだ。
客間のドアノブを握り締め、息を飲む。
このドアを開けたら、俺の人生は幕を閉じる。
これからの俺の未来は、あの醜い男に好きなようにされ、死ぬことさえ許されない。
固唾を飲み、一気にドアを開けた。
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