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第14話
その後の記憶は無かった。
後でアキラから聞いた話では、意識を無くした俺を赤司様はずっと犯し続けていたらしい。そして明け方、満足したように部屋を後にしたと教えてもらった。
俺は此処に連れて来られてから初めて、雪雅に抱えられてその部屋を出た。
浴室へ連れられ
「まさか…お前の処理をする日が来るとはな…」
と、溜息混じりに呟かれた。
身体を綺麗に洗われて、バスローブに身体を包まれて部屋へ戻ると、アキラと俺の戻りを待っていた宏が駆け寄って来たのだ。
「光輝!」
顔は涙で濡れていて、ぐったりとベッドに寝かされた俺の手を握り締めた。
「ごめん…俺のせいで…」
嗚咽を漏らしながら泣く宏に、俺は力無く笑うしか出来なかった。
もう、声さえも出ない。
そんな俺達を見て、アキラが悲しそうな顔をして
「もう…お前等は別れろ」
そう告げた。
「これ以上お前等が関係を続けたら…、今度は宏の命が危ない」
冗談では無いであろうアキラの言葉に、俺と宏は見つめ合う。
「宏、分かるよな?お前だけじゃ無い。光輝も見つかる度にこんな目に遭わされるんだ」
アキラの言葉に、宏は泣きながら
「最後に…2人だけで話をさせて下さい」
そう呟いた。
アキラと雪雅は顔を見合わせて
「あまり長い時間はやれないぞ」
と言うと、2人は隣の部屋の処理をしに初めて来た日に、俺が開けた廊下側では無いドアを開いて出て行った。
宏はポケットからUSBを取り出すと、俺の手に握らせて
「光輝…。例えこのまま引き離されたとしても、俺は一生お前だけを愛してる」
そう言って、まるで最後のお別れと言わんばかりの優しいキスをされた。
俺の瞳から涙が流れると、そっと宏の温かい手が優しく拭う。
そして悲しそうな笑顔を浮かべ、宏はゆっくりと立ち上がると俺に背を向けてアキラ達の居る部屋へと歩き出した。
(行くな!)
心ではそう叫んでいるのに、声も出ないし身体も動かせない。
追い縋る事さえも出来ない、情けない状態の自分を呪った。
まさかこれが、宏の姿を見る最後になるなんて思いもしなかった。
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