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第21話
そして俺は最後の仕上げに取り掛かる。
ゆでだこのような顔で逸人を見ている赤司に、涙を浮かべて
「ごめ…なさ…い。赤司…様以外の人に……抱かれて……」
そう言ってアキラの後に立っていた赤司の胸元に手を伸ばし、しがみつくように握り締めた。
すると赤司は俺を抱きとめているアキラを退かし、俺の身体を抱き締めて
「光輝、お前を怒ってなどいない」
そう言って頬に触れる。
俺は首を小さく振って
「怒られても仕方ないから…。でも、嫌いにならないで……」
と言って赤司の胸元に顔を埋めた。
赤司はそんな俺をギュッと抱き締めて
「嫌いになんかなる訳ないだろう。光輝、愛してるよ。私が愛してるのは、お前だけだ」
そう言って俺を抱き上げようとした。
まぁ…横にデカいだけの筋肉の無い男が、俺を抱き上げられる訳が無い。
雪雅を呼び、俺は雪雅に抱えられて部屋へと戻った。
そして俺の額にキスを落とすと
「今日はもう、寝ていなさい」
そう言って部屋を出ようとした。
俺はそんな赤司の腕を掴み
「逸人を…責めないであげて下さい。元はといえば、俺が夜まで待てないであんな場所で赤司様を求めたのがいけないんです」
と、涙を浮かべて懇願した。
すると赤司は俺を抱き締めて
「光輝は本当に優しい子だな。大丈夫、お前は何も心配しなくて良いから」
と言って、俺の背中を撫でた。
そしてゆっくりと俺の身体を離した時
「じゃあ、おやすみなさいのキスをして下さい」
と言って、俺が目を伏せる。
多分、普通に付き合った事が無い分、余程嬉しかったようだ。
普通に触れるだけのキスをして、俺を再び抱き締めると
「光輝、お前は俺の…俺だけの宝石だ」
と呟いて、頬にキスをすると部屋を出て行った。
ドアが閉まり、足音が遠去かったのを確認すると、俺は部屋の洗面所で顔を洗って口を濯ぐと、汚物を吐き出すように水を吐き出した。
アキラは俺の様子を見て、呆気に取られていた。
「お前…マジであいつに惚れたんじゃないかと思ったわ」
と声を漏らしたアキラに、俺は自分の顔を拭ったタオルを床に叩き付けて踏み付けた。
「冗談。誰があんなヤツ…」
そう言ってバスローブを脱ぎ捨て、俺はパジャマに袖を通す。
そして雪雅に
「それ、燃やしといてくれ」
そう言ってベッドに横になった。
アキラと雪雅は顔を見合わせ、溜め息を吐いて部屋を出て行った。
鉛のように重くなった身体を抱え、俺は重くなった瞼を閉じる。
1人で眠るベッドは冷たくて、身体の熱を奪って行く。
宏…心が死んで行く。
ゆっくりと、硬く凍り付いて行く。
今の俺を見たら、お前は軽蔑するだろうか?
ぼんやりとした頭を抱え、俺は眠りの中へと落ちて行った。
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