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第34話

「あっ……」 退院早々、お出迎えされたかと思ったら身体を求められて、俺はラブホの一室で戸張に抱かれている。 「光輝……」 馴れ馴れしく呼ぶなと言いたい所だが、復讐の為と身体を重ねる。 病院ではさすがに、いつ誰が来るか分からない状況だったので、戸張なりには遠慮していたらしい。 赤司家に戻れば、金を積まなければ抱けなくなるし、そもそも、赤司の奴が他の男に俺を抱かせるのかどうかも疑問だ。 戸張はアキラに話を付けて2時間、俺との時間を設けてもらったらしい。 ラブホに入るなり、性急にキスをされてベッドに押し倒された。 男を喜ばせる術は知っている。 「戸張様……そんなに急がなくても……」 戸惑うように言うと 「昭英だ、昭英と呼べ」 そう言われ、顎を掴まれてキスをされる。 キスを交わしながら、お互いの衣類を脱がせて行く。 戸張は忙しなく俺のシャツのボタンを外すと、胸に吸い付いた。 「あっ……」 喉を仰け反らせ喘ぐと、戸張が生唾を飲み込んだのが分かった。 (なるほど……、こいつはAV並に喘がれるのが好きなタイプね……) そう考えながら、胸を愛撫する戸張を見下ろす。 「光輝……光輝……」 と、譫言のように俺の名前を呼び、乳首にむしゃぶりついては闇雲に吸い上げて舌で乳首を刺激する。 「あっ……、激し……ぃ……」 わざと声を上げ、戸張の髪の毛に指を差し込む。 ベルトを外され、ズボンを下着ごと半分下ろされて前を扱かれる。 胸から下へと舌を這わせ、俺自身を咥えた。 これは予想外で、思わず 「ダメ……!です。」 と、戸張の頭を押さえた。 すると戸張は舌打ちをして 「折角、咥えてやったのに……」 そう言われて戸惑う。 「そんな事は……戸張様にさせられません」 にっこり微笑んで答えると、戸張は俺の顎を掴み 「昭英だ!そう呼べと言った筈だ」 そう言って唇を重ねる。 「光輝……愛してる……」 キスの合間に囁かれ、俺は耳を疑う。 まだ、会って数回。 絆されるにしては、早過ぎないか? 罠か何かだろうか?と疑っていると、強く抱き締められて 「お前だけだ……。どんなに酷い事をしても、俺を受け止めてくれるのは……」 そう呟いたのだ。 「戸張……」 戸張様と言いかけた唇を塞がれ 「昭英だ……」 そう囁きながら足を開かれる。 最奥の場所に指を這わし、潤滑剤を塗りながら解して行く。 「んっ……あっ……」 戸張の首にしがみつき、耳元で喘ぎ声を聞かせる。 優しく抱かれるのは、好きじゃない。 『光輝……』 二度と触れては貰えない人を思い出すから…。

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