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第15話

僕の反応に恭弥は驚いて動きを止めた。 「月夜…お前、入れただけでイッたのか?」 そう言われて、羞恥に顔が赤くなる。 日浦太陽に抱かれて分かったのは、運命の番だからなのか…。 確かに今までと違う、身体の奥から湧き上がる快楽はあった。 でも、8年間抱かれ続けた恭弥の身体は、それとは違う感情に襲われた。 僕の中を侵す恭弥の形、熱さ、硬さ…。 全てが僕を狂わせる。 他の人に抱かれて気付いたのは…、僕は恭弥を愛していたんだ。 だから、身体だけの関係が辛かったし、悲しかった。 身体と心のバランスが崩れて、僕は恭弥でヒートを起こす事が出来なくなっていたんだ。 僕の腰を掴み、灼熱の楔を打ち付ける恭弥の背中をそっと撫でる。 ビロードのような滑らかな肌と、引き締まった筋肉で覆われた身体は本当に綺麗だ。 僕の中に自分の雄を突き入れて穿ち、汗に濡れた恭弥の綺麗な顎から滴る汗さえも愛おしく思えた。 でも…、僕と恭弥は兄弟なのかもしれない。 そうなったら、僕は恭弥の子供を身篭る訳にはいかない。 でも…この感情に気付いてしまった途端、恭弥の子供が欲しいと願う自分が居た。 「月夜?…今日は、どうした?」 今まで感じた事の無い快楽に、恭弥が触れる場所全てが性感帯になったように感じてしまう。 何度も何度も空イキして、頭がおかしくなりそうな程だった。 そんな僕に、恭弥が驚いた顔で見下ろす。 「恭弥……離さないで……」 縋り付く僕に、恭弥はそっと頬に触れて 「運命の番と結ばれると……、こんなに変わるんだな……」 恭弥はそう悲しそうに呟いた。 「違……う……っ!恭弥だから……」 首を振って否定する僕に、恭弥は切なそうな顔で僕に口付けを落とすと 「何度抱いても……俺には……。俺に抱かれる月夜は人形みたいだった……」 そう言われた。 僕が目を見開くと 「ごめんな……、月夜」 ポツ……ポツ……と、恭弥が涙が頬に落ちては流れて行く。 「俺には、お前をこんな風にしてあげる事が出来なかった」 そう呟く恭弥の熱が、僕の中でゆっくりと萎えて行く。 「違う……恭弥、聞いて。僕は……」 「これ以上!もう……これ以上、俺を惨めにさせないでくれ……」 恭弥の言葉に声を失う。 「お前が高校だけは出たいのは知ってる。だから、それまでは我慢してくれ……。高校を卒業したら、自由にさせてやる」 恭弥はそう言うと、すっかり萎えた恭弥自身を僕から引き抜き、衣類を身に纏うと離れを後にした。 あんなに熱かった筈の身体は冷えて行き、僕は自分の犯した罪に気付いた。 傷付けられていたと思っていたのに、傷付けていたのは僕の方だったんだ。

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