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第22話

そして何より、自分の母親が犯した罪に苦しんでいるんだと思う。 敦子様の鵜森家への異常な憎しみの理由も、理解出来た。 「月夜君、きみはもう……相楽家に関わらない方が良い。きみは自由になるんだ。」 石井先生に肩を捕まれ、そう言われた。 「自由?」 ポツリと呟くと 「そうだ。那月も最初は自由に慣れなくて戸惑っていたけど、人間はゆっくり順応して行く生き物だから……」 そう言われた。 慣れるのだろうか? 恭弥の居ない世界に……。 突き付けられた衝撃の事実。 血の因縁に縛り付けられ、鵜森家と相楽家がずっと繰り返して来た誤ちにより起こった悲劇。 どんな思いで……僕の父親であり母親だった葉月は命を絶ったのだろう。 又、恭弥はその話をどう聞かされ、どう受け止めたんだろう。 恭弥の流した涙の意味を知り、僕は……僕の存在自体が恭弥を苦しめているんじゃないかと思った。 幼い……お互いの手だけを必要としていた頃には、もう戻れないのだと感じた。 涙が溢れ、どうにもならない悲しみが僕を襲った。 休み時間が終わると、日浦太陽が様子を見にやって来た。 僕の様子を見て、事実を知ったのだと理解したらしく、そっと僕の手を握り締めて 「俺がずっと傍に居ます」 そう力強く言って僕を抱き締めた。 この日、初めて日浦太陽の住む家に招かれた。 今は抑制剤で抑えているけど、1週間ヒートが続くので、生活の面倒を見て貰う事になった。 結局、Ωは一人では生きられない厄介な生き物なんだと思い知らされる。 本当は……1人になりたかった。 『月夜……』 優しく頬に触れる手が…恋しい。 『月夜……愛してる……』 初めてヒートを起こした日、何度も囁かれた愛の言葉。 失って初めて、恭弥の想いに気付く。 「月夜先輩」 今、僕に触れているのは誰? まるで宝物に触れるように僕に触れているのは……、あぁ……日浦太陽か……。 「太陽……?」 ヒートで朦朧とした意識の中で手を伸ばすと、日浦太陽は愛しそうな瞳で僕の手を取り指先に唇を落とす。 唇を重ね、僕の頬にキスを落とす。 「俺が……あなたの中の思い出を、綺麗に塗り替えて上げます。だから、あなたは安心して俺に身を任せて居れば良い」 そう言われて、立ち上がった乳首に舌を這わされる。 「あぁっ……!」 腰を揺すられながら胸を刺激されて、下半身か甘い痺れが湧き上がる。 「たい……よ……ぉ……」 自分の声とは思えない程の甘えた声に、日浦太陽は頬に頬を擦り寄せて 「愛してます、月夜先輩……」 そう囁くと最奥を穿つ。 「は……ぁぁ……っ」 仰け反り、日浦太陽の背中に爪を立てる。 グッ……グッ……と最奥を刺激され、甘い痺れが全身を包み込んで行く。 「分かりますか?あなたの子宮、降りて来てますよ。このまま中出ししたら、妊娠確定ですね……」 そう囁かれて、避妊薬を飲んだのか心配になっていると 「安心して下さい。ちゃんと避妊してますから……」 そう言われて激しく腰を打ち付けられる。 「激し…い……っ」 身体の中を穿つ楔が、自分の慣れた形状では無い事が悲しいと思う余裕を与えない程に攻め立てられて、意識が飛びそうになってシーツを必死に掴む。 「あの時、無理矢理にでもあなたを拐うんだったと後悔しています」 そう言われて、日浦太陽が僕の両頬を両手でそっと触れて僕を見下ろす。 「この瞳が今、誰を写しているのかは分かっています。それでも必ず、最終的にあなたは僕を選びます。俺はそれまで、ずっと待ちますから」 と言われた。

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