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第1話

今時のアダルトゲームは、VRのソフトもあり、より没入感を味わえた。さらに、今やプログラムではなく、AIがお相手をしてくれる。 俺が愛用の「アイちゃん」は、初期設定の見た目も性格も平均的で、これといった特徴はない。ゲームをする頻度や時間、すすめ方、対応の仕方、エッチの仕方によって、個性が植えつけられていく。 おおまかに例えれば、毎日プレイする依存型には、サドなツンツンデレに。週一くらいしかプレイしない、淡白型には、エムなかまってちゃんに、といった具合。 従来のゲームのように、女の子の設定をいじれないし、プレイを通して、好みのタイプにできるとも限らない。最先端の技術、AIを用いながらも、中々、不自由なゲームだけど「神作」と崇める愛好家は数知れず。案外、自覚していない理想を、AIが形作ってくれるのが、興味深く、満更でもないらしい。 俺はゲームをはじめて一ヶ月。週の半ばと、週末に二時間ほど、ゴーグルを装着する。おしゃべりに割と時間を割いてから、そのままスムーズにセックスになだれこんで、事後も時間をかけ、いちゃつくという、健全なプレイをしている。 まだプレイ時間が少ないのと、さほど癖のないプレイをするから、アイちゃんは初期設定とそう変わらず、シャイで大人しく、はにかむのが愛らしいまま。自分の性格からして、乱暴にしたり、焦らしたり、赤ん坊のように甘えたり、極端なことはできなさそうで、アイちゃんとは清く正しい付き合いがつづくものと思っていた。が。 週末、休み前日の夜に、思う存分、プレイをしようとゴーグルを装着したら、背を向けるアイちゃんの格好に異変が。いつもは、清楚なお嬢様風の服装なのが、今日は黒のミニスカに、長くかかとが高いブーツ、三角の帽子を被っている。手に持つのは箒。 振り返ったアイちゃんは、スカートの裾を引っぱりながら「ト、トリックオア、トリート・・・」と。そうか、今日はハロウィンかと思いつつ「どうしよう、お菓子がない」とマイクで告げる。 「じ、じゃあ、イタズラを」とおずおずと寄ってくると、口付けをしてきた。アイちゃんから、アプローチをしたのははじめてで「かわい・・・」と胸をときめかせながら、片手で胸を揉み、片手で太ももを撫でる。 「は、あ、ん・・・」とすぐに息を切らして、もたれかかってきたのをそのままに、胸を揉みしだきつつ、ミニスカとブーツの間の絶対領域を堪能する。といって、感触はないものを、スカートとブーツに締めつけられて、寄せられた太ももが、視覚的に十二分、美味だ。 目で愛でて、触るふりをするのに物足りず、屈みこんで、舌を這わせる。空中を舐めつつ「あ、ああ、あん」と高く鳴き、腰を揺らす愛らしさにうっとりして、無我夢中に太ももにしゃぶりついて。そのとき。 しきりに頭を揺らしていたら、ふとその視界に、あらぬものが。舌と涎を垂らしつつ、思わず顔をあげたら、ミニスカにテントが張っていた。 さらに見上げれば、涙目に頬を上気させながら「ヨウくん、かわいい」と舌なめずりするアイちゃん。潤ませる瞳の奥が、飢えた獣よろしく、ぎらついているように見え「スカートの上から舐めて」と請われ、背筋を震わせるまま、膨らみに口を寄せて。 しゃぶりだして、そう経たずに自分が勃起したのを「ヨウくん、触ってあげようか?」と聞かれ、指示通り、仰向けになれば、乳首を舐められながら、ブーツで擦りあげられた。射精してからも「じゃあ、私の番ね」とミニスカ越しに固いのを股間に押し当てられ、強く突き上げられ、濡れたズボンの中をぐちゃぐちゃにかき回されて、声が嗄れるほど、鳴かされ泣かされて。 「『今日はここまで』ってことは、次の段階まで、すすんだのか?」 バーのカウンターで、友人がにじり寄ってきたのに「うう・・・」と羞恥と酔いで目を回す。男性向けのVRアダルトゲームで、男に犯される羽目になるなんて、墓場まで持っていきたい不都合すぎる真実だったけど、酒の弱さには勝てず。 まあ、それにしたって「お前、なんか変じゃね?なにがあったか、話してみろよ。ほれほれ」と絶えず酒をついで問いつめてきた友人の執心ぶりも、どうかと思う。あまりにしつこいのに、やけになって、洗いざらい吐いたところで、興ざめせずに「で、どうなんだよお!」と目を爛々とさせているし。 「も、いいだろ・・・男が男のAIとまぐわう内容、聞いてて、なにが面白いんだか・・・。長年、付き合っている彼女がいるくせに」 「ばっか、んなことねえって!いや、ここだけの話さ、長く付き合っているからこそ、彼女とはマンネリで。もちろん、浮気なんかしていないが、それが裏目にでてか、飽きてきたというか、セックスを味気なく思うというか・・・。 だから、いっそ、ぶっとんだスパイシーなセックスの仕方を知りたいわけ!浮気しない分、人のセックス事情聞いて、刺激を受けるくらい、させろってえの!」 しっとりとジャズが流れるバーで、「セックス」「セックス」喚かれては堪ったものではない。合掌して頭を下げられれば、もうお手上げで「分かったから、声のトーンを落とせよ」と注意しつつ、声を潜めてつづける。 「ゲームの付属品にローションを売っていたから、それを買って、指を入れて・・・」 「それな!男でも尻でよくなるって聞いたことがある!実際、どうだったわけ!?」 「正直、自分でやってるし、分からない。だから、身体的快感というよりは、アイちゃんの囁きに、やられているっていうか。 距離があいてても、アイちゃんの声って、ヘッドフォンの左右、どちらかから聞こえるんだよ。で『女の子みたいでかわいい』とか『ほら、おねだりして』とか、少年の声で囁いてくるもんだから・・・」 「うわー、お前、思った以上にやばそうなのに、満更じゃないみたいじゃねえの!エッチな顔しやがって!その顔はもう、挿入されたな!ああ?どうなんだよ!」 一応、辺りに聞こえないよう、密着して囁きあっているから、友人の荒い鼻息が頬にかかる。友人はさほど飲んでいないはずが、寄りそう体は熱っぽく、つい、その火照りに当てられて「挿入・・・された」と湿った息を吐いた。「へえ・・・・どうやって、挿入されたの?」と耳に舌を掠めて、囁いたのに「っ」と肩を震わせる。 「ふ、付属品にディルドがあって・・・・どうして、男性用ゲームにそれが販売されているのか、謎だけど、アイちゃんがピストンするのを忠実に再現するよう、設定されてて・・・それで・・・」 そのときを思い起こし、頬を熱くして、内股になる。男の友人相手に頬を染めて、もじもじするなんてお笑い草のはずが、冗談でなさそうに「なあ、本物で試したくないか?」と色っぽく誘い、太ももに手を置いてきて。 「彼女とマンネリなのを、解消する突破口が欲しいんだよ。男同士なら、妊娠しないし、浮気に入らないだろ?なあ?」

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