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右(右左)左+右

※  びっくりした。はまるとかそういう言い方にするのはどうかと思うけど、それでもなんて言ったらいいのかわからないくらいにはあの男の人のセックスが好きだった。  最初の飼い主は本当に乱暴な人で、それは最中だけでもなかった。痛いことが多かったけど声を出されるのが嫌で、黙るのはそこで覚えた。  二人目は、その最初の飼い主が警察に捕まって、ぼくが買われた。本当のところなんで捕まったのかぼくは知らないけれど、ぼくにした乱暴が原因ではなかった。家が家じゃなくなってしまってからしばらくの間は最初の飼い主の下にいた人たちと困ったままだった。そこで二人目の飼い主がぼくを買った。そのお金はきっと、最初の飼い主の保釈金かなにか。  二人目の飼い主は、ぼくともう一人をさせるのが好きな人だった。いや、正確には一人じゃなくてもう少しいた。  そこではペットらしいことをほとんど覚えた。仕草とか、ぼくにはよくわからないけどそれらしいことを、なんか、色々。  最初の飼い主みたいな乱暴はなかったけど、人の扱いはされていなかった。小動物を扱うみたいな、飼ったことはないけど、多分、そんな。  三人目がリョウジ君だった。二人目の飼い主といつものクラブにいて、展示されてるぼくを、リョウジ君は本当に気に入ったみたいで、三か月はかけて二人目の飼い主を説得し続けた。  ぼくを買うお金を、三か月かけて集めたって言うから、本当に、本気だったんだろうと思う。  それが、十数日前。本気で怒ったリョウジ君がぼくを捨てた。  それから、今。  右左で言えば、右(右左)左みたいなものだった。二人目の飼い主の時はどっちもしたけど、左の方が多かった。  それが、今、思いもよらず。  ぼくはずっとペットをしていて、対価を求めるなんてことはなかったけれど、よく考えればぼくがするばかりだった。言うことを聞いて、望まれることをする、相手の為に全部をする。  それが、なにもしなくていい。それはもう、不慣れで困った。  ここにいる為に特別に重い行為をしなくてもいい。いやだなって思うことも、今はしたくないなってことも、なにも。  こうしろもああしろもなくて、なにもせず留守番をして、ご飯をもらって、洗ってもらって、寝る。そこに、なんにもしなくていいセックスがついた。ぼくしか得をしてない。得って言うのもおかしいんだけど。  いいのかな、いいのかな。  そう思いながら擦り寄って、二日後、また、男の人はぼくとセックスをした。ぼくにはなにもさせない、そう、多分、ぼくに与えるだけのセックスを。

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