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第26話

 とんとん拍子に事が運びすぎて、未だに現実味が薄い。それに営業部一の酒豪と名高い咲良さんといえども、ラズベリーブランデーを含んだチョコソースを大量に摂取したことで、ほろ酔い気分にあるのだと思う。  そうだ、そうに決まっている。アルコールの副作用に違いない。乳首を弄んでいる間に自分まで欲情してしまっただなんて、そんなAVのお約束みたいな方向に話が展開するわけがない。  ところが飴色がかった瞳は、明らかにとろんと潤んでおります。かてて加えて色白の頬がほんのりと上気して、フェロモンがだだ洩れといった(てい)を成しております。  しかしムスコが溌溂としっぱなしのこの状況においては、エロ顔をかぶりつきで鑑賞できるというシチュエーションは、拷問に等しいものがあるのだ。 「早瀬の協力もあって、干しぶどうのチョコボンボンをしかと堪能したぞ」  後味を楽しむふうに唇を舐めまわすと、えくぼを深めた。咲良さんは俺の上に起き直りがてら上体をひねり、くい、と片方の眉をあげた。  そして、にょっきりと存在を誇示する男印のタケノコを摑んで、ひと言。 「ずいぶん勇ましいことになっているな」  俺は足をまっすぐ伸ばして、爪先に力を込めた。カリにあてがわれた指が8の字を描いて華麗に舞えば、練乳が、練乳がしみ出してきちゃいます!  ところで咲良さんの中心部が、拝観の栄に(よく)したいと(こいねが)ってやまない宝物殿がこころなしかテントを張ってみえるのは、願望が生み出した目の錯覚にすぎないのだろうか……?  それはそれとして、一難去ってまた一難といった感じだ。眼鏡を外してレンズを磨き終えると、咲良さんは刷毛をレードルに持ち替えたんだ。やおらチョコソースを掬うと、股間めがけて勢いよく垂らした。 「こっ、今度は何をおっぱじめたんですか!」 「早瀬は鍛えがいのある部下で、その分身もまた育てがいがある。よって、この……」 「ぅ……くぅ……」  ひとしごき、ふたしごきとチョコソースが、イチモツに丹念に塗りつけられていく。 「すくすく育った〝早瀬〟を放っておくのは忍びない。上下関係の垣根を越えて(ちか)しい間柄になった記念を兼ねて、せっかくだからチン拓をとっておくのも面白いと考えるにおよび、実行に移す」

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