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第43話

「当初は枝についたばかりの花芽のように固かったここが、おれのために咲き匂い、華やぎ、嬉々としておれを貪っているのが、わかるか」  わかるも何も……ギャザーが目いっぱい拡がって、男の武器をがっちりと包み込んでいて、うわぁ、な感じだ。 「いじらしい花は、腕によりをかけて愛おしんでやらなければ失礼にあたるな」 「う、ぅう……っく!」  小手調べ程度とはいえ、尻肉を鷲摑みに抜き差しが刻まれはじめると、内臓がせり上がるような感覚が強まる。加速度的に激しさを増す抽送に応えるどころか、へたり込みたがる自分を鼓舞してつながりを保っておくのがやっとで、たぶん魂の何割かが抜けてっています。 「だいぶ馴染んできたな。これほどまでに向上心に富んでいるなら、おれのペースで動いてもついてこられるな」 「おっ、お手柔らかにお願いし……ひっ!」  ぐい、と突き上げられると、矢じりが口から飛び出してきそうだ。強靭な腰づかいに翻弄されっぱなしの姿は、床下手ぶりを指してそういう冷凍マグロそのもので、咲良さんがシラけてしまうんじゃないかと不安になる。  意識的に襞をすぼめて咲良さんをもてなしいと焦る心と裏腹、何をどうすればいいのか皆目見当がつかない。それに挿入(はい)ってこられるときより、退いていかれるときのほうがつらい。  変なふうにいきんだ拍子に花穂をしたたかに食いしめてしまったみたいで、呻き声が産毛をそよがせた。 「いい子だ、早瀬はデキる子だ。おれに呼吸を合わせて力を抜いてごらん」  耳の穴にねっとりと舌を這わされると、ラブパワーの効用? もしくは人体の神秘……なのかな?   切っ先が悦楽ポイントを嬲りのめしていけば、ぞくぞくするものが背筋を走り抜けて、むずかるように(なか)がさざめく。咲良さんの形に合わせて内壁が狭まったり広がったりしはじめると、樹液がにじむ。  その、こってりした流れが幹にこびりついたチョコを溶かし、それらが混じり合ったものを指でひと掬いして咲良さん曰く。 「早瀬のエッセンスが凝縮されたこのチョコレートは、とびっきり美味だ」

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