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第44話
もうひと掬い、ふた掬い、と指をしゃぶるところをみると満更リップサービスではないようだ。ただし、かなり特殊な製法でこしらえたチョコに舌鼓を打たれると複雑なものがある。
「ここを集中的に突きしだけば濃いめのミルクが洩れて、いっそう風味を増すな」
「……ぅ、っく!」
カカオでいえば種子を狙い撃ちされると、男印のネクターがとめどなく露を結ぶ。鈴口を指の腹でこね回されると、ショコラムースが出来上がるようだ。
恋い慕ってやまない咲良さんに、珍無類のバレンタインチョコをプレゼントできたぜ、イェ~イ! とりあえず無邪気に喜んでおくべき、かな?
念願が叶って……と言いきるには割り切れないものが残るとはいえ、咲良さんとラブな仲に昇格したことに変わりはない。これもある意味、結果オーライ?
「早瀬、おねんねするには早いぞ」
ぺちぺちと頬を叩かれた。乳首に立てられた歯が、カニミソをせせる要領でスライドした。血潮がしみわたり、蕩けきった粘膜に淫らな摩擦が加えられると、俺のそこは意思を持ったように咲良さんを食みくだく。
スプリングが派手に軋み、その騒々しさといったらマンション中に響き渡るようだ。
それはベッドに場所を移して、三ラウンド休憩なしのぶっつづけで貪られている最中のことだ。達したそばからムスコに指が巻きついてきて、勃ったと思えば搾り取られて、俺のタンクはもはや空っぽです……。
「あと二ラウンドばかりこなせばメスイキ方式で極めるコツを摑むに違いない。早瀬、ここが踏ん張りどころだ。起きろ」
「もう、腹いっぱいです。もう、食えません。見た目はバリバリの体育会系のくせしてスタミナがなくて、すみません……」
詳述すると、正常位でまぐわうにあたって腰の下に枕をかまされていた。で、両足はがばりと割り開かれて、咲良さんの左右の肩にそれぞれ担がれていた。
その足が先を争ってばたりと落ちた。と、同時にブラックアウト。何しろ弾丸を発射し終えるや否や、銃身はたちまち硬度を取り戻して深みを踏み荒らしにくる。優雅な物腰を裏切る絶倫ぶりたるや、バケモノじみている。
教訓。人を見かけで判断してはいけない。俺を恋の奴隷になさしめて、お婿にいけない躰にしておおせた咲良悠一朗さん。あなたは、スーツの下にケダモノを飼っていらっしゃるのですね……。
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