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結婚したい男の気持ち❣️4

 同性婚の実施が半年後という情報を、外回りしていた出先で知った。 『こんなの施行されたら、ますます少子化が加速していきますよね』  なんていうお客様からの率直な感想を聞き、そのときは相槌を打ちながら苦笑いを浮かべた。しかし心中複雑だったのは言うまでもない。同性愛者の自分にとってはとても喜ばしい法律なれど、世間一般からの意見としては理解し難いものがあるんだな、と――  そのことを思い出し、胸の中に鈍い痛みを感じたタイミングで視線の先に映ったのは、赤い色した長方形の大きな天井だった。和臣が乗ったバスが今、ビルの前を通過しようとしていた。  たとえ姿が見えなくても、そこに恋人の存在を感じることができた。なぜなら和臣も建物の中にいる自分に、心を寄せているから。 「臣たん……」  ひとりきりでは心は生まれない。想う相手がいることによって、はじめて心は生まれ愛情が育まれていく。  榊は通り過ぎたバスを名残惜しげに見送り、窓ガラスから顔を上げると頭を振って、仕事モードに気持ちを切り替えた。  少しでも早く帰るべく厄介な残務処理を手早く終えるために、気合いをいれたのだった。

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