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第42話
慌てて部屋にもどり
「何処か痛い?」
心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。
そんな創さんを見て
「みなさ~ん!こんなイケメン紳士が、俺の恋人です!」
そう叫び出したい気持ちになった。
「はじめ?」
心配そうに瞳を陰らす創さんに
「すみません……羞恥に耐えきれず…」
布団を鼻まで上げて呟くと、創さんがとびきりの笑顔を浮かべて俺を布団ごと抱き締めると
「はじめ!そんな可愛いと、又襲いたくなるだろう?」
そう言うと、ゆっくり俺の身体を起こして
「はい、お水入れて来たよ」
と、コップを手渡された。
「ありがとうございます」
お礼を言って水を飲んだ瞬間、身体が水分を欲していたんだと気付いた。
ゴクゴクと一気に飲み干すと
「今日はゆっくり休んでて。後は、僕とばあちゃんでやるから……」
優しく髪を撫でられ、涙が込み上げて来た。
「えぇ!はじめ、又泣いてるの?」
驚く創さんに
「俺、一生1人だと思ってたから……」
そう呟いた俺に、創さんは優しく微笑んで
「これからは、ずっと僕が傍に居るよ」
と言って抱き締めてくれた。
「はじめ、愛してるよ」
創さんの言葉に、俺は涙の塊がせり上がって来て大泣きしてしまった。
両親にさえ愛されなかった俺は、人と違う恋愛対象にずっと悩んで来た。
じいちゃんとばあちゃんが死んだら、俺は此処で独りひっそり天命をまっとうするつもりだった。
そんな俺を、こんなに綺麗な人が救いあげてくれた。
「創さん……俺を好きになってくれて、ありがとうございます」
涙を流して泣く俺を抱き締めてくれている創さんに呟くと、創さんは小さく微笑んで
「はじめ。先にはじめを好きになったのは、僕の方なんだよ」
と言い出した。
驚いて創さんの顔を見ると、創さんは小さく微笑んだままゆっくりと話し始めた。
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