42 / 44

第42話

慌てて部屋にもどり 「何処か痛い?」 心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。 そんな創さんを見て 「みなさ~ん!こんなイケメン紳士が、俺の恋人です!」 そう叫び出したい気持ちになった。 「はじめ?」 心配そうに瞳を陰らす創さんに 「すみません……羞恥に耐えきれず…」 布団を鼻まで上げて呟くと、創さんがとびきりの笑顔を浮かべて俺を布団ごと抱き締めると 「はじめ!そんな可愛いと、又襲いたくなるだろう?」 そう言うと、ゆっくり俺の身体を起こして 「はい、お水入れて来たよ」 と、コップを手渡された。 「ありがとうございます」 お礼を言って水を飲んだ瞬間、身体が水分を欲していたんだと気付いた。 ゴクゴクと一気に飲み干すと 「今日はゆっくり休んでて。後は、僕とばあちゃんでやるから……」 優しく髪を撫でられ、涙が込み上げて来た。 「えぇ!はじめ、又泣いてるの?」 驚く創さんに 「俺、一生1人だと思ってたから……」 そう呟いた俺に、創さんは優しく微笑んで 「これからは、ずっと僕が傍に居るよ」 と言って抱き締めてくれた。 「はじめ、愛してるよ」 創さんの言葉に、俺は涙の塊がせり上がって来て大泣きしてしまった。 両親にさえ愛されなかった俺は、人と違う恋愛対象にずっと悩んで来た。 じいちゃんとばあちゃんが死んだら、俺は此処で独りひっそり天命をまっとうするつもりだった。 そんな俺を、こんなに綺麗な人が救いあげてくれた。 「創さん……俺を好きになってくれて、ありがとうございます」 涙を流して泣く俺を抱き締めてくれている創さんに呟くと、創さんは小さく微笑んで 「はじめ。先にはじめを好きになったのは、僕の方なんだよ」 と言い出した。 驚いて創さんの顔を見ると、創さんは小さく微笑んだままゆっくりと話し始めた。

ともだちにシェアしよう!