24 / 76

第11話 まるで、恋人のように・1

■ 男を抱くというのは、人生で初めてのことだし、全く想定もしていなかったことだ。 こんなソファの上で、なし崩し的に行為をするのも初めてだ。 我を忘れる程誰かを求めたこともなく、ホテルのベッドで淡々と処理のように性欲を発散することしかなかった。 (もちろん、礼儀はわきまえて、その前に食事ぐらいはご馳走するし、事後送り届けるぐらいのことはしたが) 今はベッドルームに行くまでの時間が惜しいぐらい、限界に来ていた。 かろうじて、鞄の中に常備していた避妊用のゴムを用意できたぐらいだ。千早は男性とはいえ、Ωだから中に出したら妊娠してしまう。 千早は沈み込むようにソファに横たわると、高斗を見上げながら、自ら自分のシャツのボタンを外し始めた。 その手慣れた様子に、我ながら嫉妬深いと思うが苛立ちを感じ、高斗は手首を掴んで止める。 「俺に脱がさせて」 そうして千早のボタンを外し終えて、シャツを脱がし、そのまま下着ごと掴んでズボンも引きずり下ろす。 「ちょっ……、いきなりこんな全部…っ」 生まれたままの姿にされた千早は腕で軽く体を隠したが、その手も掴んで、ソファの上に磔にするように押し付けた。 この一週間、何度も千早を想像の中で犯したが、思い描いていたよりもずっと彼の体は綺麗だった。 白く滑らかな陶器のような肌はシミひとつない。 細くくびれた腰、柔らかそうに肉付いた太もも。Ωの体つきは男でも、こうもそそる物なのかと驚いた。 何より、手を掴まれて隠せなくなってしまった性器を、内股をすり合わせて隠そうとする仕草や、ひどく恥ずかしそうな表情に興奮を覚える。 「そんなに、見るものでもないと思いますけど……。早く、始めてください」 あまりに不躾な視線に、千早が耐えかねたように言う。 「恥ずかしい?」 「別に……」 「千早は色白だから、隠せなくて可哀想だな。この辺まで真っ赤になってる」 鎖骨を指先でなぞると、細身の体がピクリと跳ねた。 「ん…っ」 (クラクラする……) こんなに興奮状態になったのは初めてのことだ。 Ωフェロモンを放つと言われる首筋に舌を這わせると、千早が微かに身を竦ませた。 「そこ、は…っ」 「分かってる。噛んだりしねーよ」 軽く音を立ててキスを落とし吸い上げると、鬱血の痕が付いた。 赤いその痕は、白い肌に良く映える。 ふとそこで、千早の体には、今高斗が付けた痕以外、一つも痕が残っていない。そのことに驚いた。 「青山とは……ヤらなかったのか?」 千早はどっちともとれない表情で顔を逸らした。 高斗はその顔に焦れ、まるでマーキングのように、千早の首筋や胸元にキスマークを散らした。 「…っ、ん……っ、やぁっ」 「ここは?」 薄桃色の可愛らしい、ぷっくりとした乳首に唇を這わせると、彼はひと際高い嬌声を上げた。 新たに見つけた弱点を執拗に弄ると、彼はひっきりなしに声を上げ、しまいには羞恥に耐えかねたのか手で口を覆って声を殺してしまった。 「こら、離せ」 手を離させると、千早は生理的な涙で潤んだ瞳で訴えるように高斗を見上げ、首を横に振った。 「そこ、や、だ……っ」 「なんで? Ωは気持ちいいことが好きなんだろ? ここ、気持ちいいんじゃないのか?」 指先で弄り回しながら意地悪く問いかけると、千早は押さえきれない声を上げた。 「ひっ、あっ…、や、ああっ」 (エロい……) よがる顔を間近で見下ろしながら、高斗はごくりと喉を鳴らした。 これまでのセックスで、前戯などろくにしたことがなかった。今思うと、本当にただ性欲を吐き出すだけの最低な行為だったと思う。 だが今初めて、抱いている相手の反応に興奮を覚え、もっと気持ちよくさせたいと切に思った。青山より、他の男達より、自分とのセックスを一番気に入ってもらいたい。 自分を選んでもらいたいと、必死だった。 もっと味わいたいのに、高斗はそろそろ、自身の欲の我慢が出来なくなってきていた。 ヒクヒクと痙攣する千早の下腹部を無意識に撫でた。 ここに、腹に付くほど反り返っている自分の性器を、はやく入れたい。 千早の性器も、すでに腹に勃ちあがっていて、先端から、まるで涙を零すように透明の先走りが垂れている。 陰茎を緩く握りこみ、濡れそぼった先端を、親指の腹で優しく愛撫する。 「んっ、ううー…っ!」 唇を噛みしめ、千早が背中をのけぞらせた。先走りが後から後から零れてくる。陰茎を緩くこすると、千早は高斗の手をとめた。 「そこ、は、いいです……っ、ほんと、に……」 「なんで? こんなに濡らしてんのに?」 手にべっとりと付いた先走りを見せながら言うと、千早はカアッと赤くなりながらも、小さな声で言った。 「高斗さん、ストレートでしょう。本当は男の…そんなところ、触るの、嫌なんじゃないですか? 萎えちゃったら、ショックなので……」 その顔は、ひどく不安そうで、どうやら本気でそう思っているようだ。 つくづく、この一週間彼を避け続け、不安な思いをさせていたことを後悔する。 「あのなぁ、萎えるどころか……もう、こっちは限界なんだよ」 高斗はそう言って前を開け、自身の性器を露出させた。そそり立つをれを見ると、千早は口元に手を当てて、ひっと喉を鳴らし、思わずといった様子で言った。 「そ、そんなの……入りません……」 「え? このサイズ、初めてか?」 千早は、怯えたような、期待に満ちたような顔でこくこくと頷いた。 そこまで規格外という自覚はなかったが、千早が見た中ではだんとつの大きさだったのかと、少し得意げになる。 「大丈夫。ちゃんと慣らすから。それより、俺がどれだけ、お前の体に興奮してるか、分かったか?」 千早は泣き出しそうな顔で笑い、頷いた。 汗で張り付いた前髪をかき分け、安心させるように額にキスを落とすと、高斗は千早の後ろに触れた。先走りで、すでにそこは濡れている。 「男を抱くの初めてなんだけど、ここに入れるんだよな?」 指先でなぞりながら聞くと、千早は羞恥に顔をそむけながら頷く。 先走りを指先に纏わせてゆっくりと慎重に指を突き入れる。 思っていたよりも中は柔らかく、さほどの抵抗なく入った。 絶対に傷つけないように、二本、三本と、ゆっくり解しながら指を増やすと、千早が不意に言った。 「初めて、じゃないから…っ、そんなに、慣らさ、なくていい、です…っ」 「さっき〝入らない〟ってビビッてただろ。このままぶち込んで、ケガでもしたらどうするんだ?」 「だい、じょぶ…、だから早、く…っ」 千早が誘惑するように白い腰をくねらせた。その煽情的な顔に余裕はなく、早く入れて欲しいと訴えている。 高斗自身、もう限界だったが、それでも首を横に振った。 「ダメだ。もうちょっと待て。万が一にも、痛い思いさせたくない。初めてとか、初めてじゃないとか、関係ないだろ」 そう言うと、千早はまた、泣き出しそうな顔をして、その身を高斗に任せた。 四本目を入れる頃には、千早は腰を浮かせる卑猥な恰好で高斗の指を受け入れていた。 「あっ、…ぁっ、や…っ、ああっ」 もはや声を押さえるのも忘れ、完全に理性のないメスの顔で喘いでいる。その姿がひどく艶やかで、高斗もさすがに限界を迎えた。 「入れていい?」 囁いて、柔らかい耳朶に歯を立てると、千早はビクッと体を震わせて頷いた。 「はや、く……っ、高斗さん、来て……っ」 「あんま煽んなって…っ、我慢してんだから」 高斗は口でパッケージを嚙み切って、ゴムを取り出すと、自身の性器に被せて、ヒクヒクと収縮を繰り返すその場所に、ゆっくりと突き入れた。 「あ…っ、たかとさ、高、斗さん……っ」 千早の体内はひどく熱く、絡みつくように性器を包み込んだ。 これまで経験したことのないような快楽に、高斗はすぐに情けなくも爆発しそうになったのをグッと堪える。 「はぁ…っ、すげ…っ」 「あっ、ぁっ…たか、とさん」 「千早、痛くないか?」 彼がすぐに頷いたことに安堵して、ゆっくりと腰を動かす。 千早は無意識なのか、焦点の合わない目で甘い声を上げながら、高斗に手を伸ばしてすがりついた。 動きにくさはあるが、吸い付くような千早の肌が、自分の肌に触れるのが心地よく、何より愛おしかった。 太腿を抱え上げて緩く抜き差しを繰り返すと、千早はまるで啜り泣きのような声をあげて腰をくねらせた。 「あっ…、んっ、やっ、やだ」 のけぞらされて目の前に突き出された胸元の、ピンと立ち上がった突起を甘噛みすると、中が分かりやすく収縮した。 角度を変えて、内部を擦り上げるように腰を動かし、これ以上は入らないというぐらいまで穿つ。 「あっ、ら、め、奥…っ、おく、すご、い……っ」 衝動を止められず、荒々しく内部を性器で突き上げた。 「ひっ、や、あああーーーーーーっ」 背中を弓なりに逸らして悲鳴のような声を上げて、千早は快楽の証を散らした。きつい締め付けに、高斗もまた、こらえきれずにゴムの中に濃い精液を放った。 「はぁ…はぁ……っ」 荒い息を吐いて萎えた性器を素早く引き抜いてゴムを外すと、千早は未だ焦点の定まらない目で、体を震わせ続けていた。 それに合わせて、残滓がドクドクと性器からあふれ出し、腹を汚していく。 その光景がひどく淫猥で、高斗は、今吐き出して萎えたばかりの性器がむくむくと頭をもたげるのを感じた。 (全然収まらねえ……) 「……千早、全然足りない。もう一回いいか?」 イッたばかりで敏感になっている体にキスを落としながら聞くと、彼は何も言わずにただ何度もうなずき、高斗に夢中で抱きついてきた。 (可愛い……) 柔らかい黒髪を撫でながら愛おしさに、何度も頬にキスをして、もう一度ゴムを付け直して突き入れると、千早は、普段の真面目な顔から想像が付かないほど蕩けた表情で、口の端から涎を垂らして嬌声を上げた。 「あ、あああ…っ」 その晩、高斗は、宣言した通り、千早がもう嫌だと泣き出すまで、熱に浮かされたまま何度も何度もその体を抱いた。   ★★★★★ ※エブリスタ様の方で、事後シーン書いているので(規約で性描写シーンが投稿できないため)興味ある方はそちらもどうぞ!(読まなくてもその後のストーリーに影響はありません) 以降、★★★★★マークがついているページは全て同様で、投稿サイトによって少し内容が異なります。(性描写orイチャイチャ)

ともだちにシェアしよう!