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第6話
「ビクトル、欲しいものある?」
休日の今日、リノは自室でビクトルに勉強を教わっていた。休憩中に、リノは彼に尋ねた。もうすぐビクトルの誕生日なのだ。
ビクトルは考えるように黙り込む。きっと思い付かないのだろう。欲しいものがあるのなら、彼はとっくに自分で手に入れている。
去年までの誕生日は、リノがお小遣いで買えるちょっと高めのペンなどの文房具を贈っていた。あとはビクトルの母親と一緒にケーキとご馳走を作って振る舞う。
もちろん今年も同じようにお祝いはするが、恋人になってはじめての誕生日だ。いつもと同じではなく、なにか特別なことをしたかった。ビクトルが喜ぶことをしたい。
どんなものをプレゼントしても、ビクトルは心から喜んでくれるのだけれど。
かなり悩んでいる様子のビクトルに、リノは言った。
「欲しいものじゃなくても、してほしいこととかでもいいよ?」
「俺が、リノにしたいことでも?」
「もちろん!」
にっこり笑って頷けば、ビクトルは悩むこともなくすんなりと口を開いた。
「リノのおっぱい触りたい」
「ええ!?」
予想外の発言に、リノは目を丸くする。
「それくらい、別に、いつでも触っていいよ……?」
というか、毎日のように触っているのだが。
ビクトルは目を伏せた。
「本当は、もっと長い時間触っていたいんだ。でも、あまりしつこくするとリノが嫌がると思って抑えてるんだ」
「そ、そうだったの……?」
知らなかった。いつも満足するまで触っているのだと思っていたが、違った。リノに遠慮して我慢していたのだ。
はじめて知る事実に、少なからずショックを受ける。ビクトルになら、どれだけ触られても構わないのに。
「僕、嫌がったりしないよ? ビクトルに触られるの好きだし、恋人なんだから、二人きりのときならビクトルの好きなだけ触ってもいいよ?」
誕生日プレゼントにするほどのことではない。ビクトルが我慢などする必要ないのだ。
そう伝えると、ビクトルの瞳が嬉しそうに輝いた。
「本当か? 好きなだけ触ってもいいのか? 今すぐ?」
「もちろん、いいよ」
「はっ、あっ、あっ、あんっ」
リノの口から、ひっきりなしに甘い喘ぎが零れる。
ビクトルがリノの胸を触りはじめて既に一時間以上経過していた。
リノは甘くみていた。長くても三十分くらいだと思っていた。まさかこんなに長い時間胸を弄られつづけることになるとは思わなかった。
ビクトルはヘッドボードに背を預けてベッドに座り、リノは彼に背を向けた状態で後ろから抱え込まれている。
着ていたシャツはボタンを全て外され、肩からずり落ち、ほとんど脱げていた。剥き出しになった胸を、背後から回されたビクトルの手が揉みしだいている。
「ふぁっ、ん、んぁっ、あっ」
だらしなく開いた唇から、鼻にかかったような甘えた声が漏れてしまうのを止められない。一人で乱れて恥ずかしいけれど、もう羞恥に悶える余裕もなかった。
最初はリノのもちもちの肌の感触を感じたいからとそのまま触れていたが、途中から痛くならないようにとローションをかけられた。
ビクトルの指もリノの胸も粘液でぬるぬるだ。
下から、正面から、色んな角度から散々胸を揉まれた。指が肌に食い込み、ふにゃりと形が変わる。その卑猥な光景にリノは何度も羞恥を覚えた。
乳輪もくるくると撫で回され、ふにふにと揉まれ、ぷくりと突き出された乳首をかりかりと優しく引っ掻かれた。
ローションでぬめる乳首をやんわりと引っ張られ、くりくりと捻られ、にゅるんっと滑って弾かれる。
つんつんに尖った乳首を摘まみ、捏ねられ、ぐにぐにと押し潰される。
弄られ過ぎたリノの乳首は熱を帯び、乳輪ごと腫れたように肥大していた。
乳首を優しく撫でながら、ビクトルは言った。
「また暫く毎日薬を塗った方がいいな。俺が塗ってやる」
「あんっ、僕、自分で、塗れるよ……?」
「駄目だ。俺の責任だから俺が塗る」
「ひぁっ、あっ、あぅっ」
ビクトルの大きな手が、リノの胸を包み込んでやわやわと揉む。
彼はずっとリノの胸だけを触りつづけている。指一本触れられていないリノのぺニスは、ズボンの中で熱を持って頭を擡げ、だらだらと先走りを溢れさせていた。下着はぐっしょりと濡れて、ズボンにまで染みそうになっている。
リノはもじもじと腰を小さく揺らし、何度も腿をすり合わせた。
熱を吐き出せないのが辛い。蓄積されていく熱に、リノの体は限界を訴えている。
前だけでなく、後ろも刺激を求めて疼いていた。
すっかりビクトルから与えられる快楽を覚えた後孔は、彼の陰茎を欲してむずむずともどかしげに中を締め付ける。
お腹の奥が、ビクトルの熱を注がれるのを待っている。
荒い息を吐いて、沸き上がる欲求を懸命にこらえた。
ビクトルに我慢などしてほしくない。彼が満足するまで触ってほしい。
リノがそう望んで、今こうしてビクトルに触ってもらっているのだ。
だから、それを中断させてはいけない。
胸だけじゃなくて、ぺニスにも触れてほしいと、アナルに陰茎を突き入れ、思い切り中を擦ってほしいのだと。そんなことは言ってはいけない。
けれど、体はもう限界だった。
今すぐにでもビクトルに縋りついて、はしたないおねだりをしてしまいそうだ。
無意識に、ぎゅうっとビクトルの腕を掴む。
ビクトルの囁きが耳元に落ちた。
「リノ? そろそろやめるか?」
「やぁっ、だめ、やめないでっ」
「そうか? でも、さっきからずっとリノの腰動いてるぞ?」
「ち、違うのっ……」
「違わない。リノの顔、物欲しそうに蕩けてる」
「んあぁっ」
耳の形を辿るようにねぶられ、ぶるっと震えが走った。
甘やかすように優しいビクトルの声音が、耳に吹き込まれる。
「リノ? どうしてほしい?」
「違……だめ、今は、ビクトルがしたいこと、するの……」
「リノを可愛がるのが、俺のしたいことだ。どうされたい? 我慢しないで言ってみろ。なんでもしてやる」
「ひゃうぅっ」
両方の乳首をくりゅくりゅと指で挟んで捻られ、びくんびくんと腰が浮く。
もう、耐えることはできなかった。
「おちんち、触ってぇ……っ」
「触るだけ?」
「ビクトルの手で、握って、擦ってほしいの……ビクトルに触られて、いきたい」
「わかった」
ビクトルは漸くリノの胸から手を離した。
ズボンと下着を脱がそうとする彼に協力する。すぐに下半身を裸に剥かれ、ぬるぬるに濡れた性器が露になった。
ビクトルの手が、リノのぺニスを握り込む。そのままくちゅくちゅと上下に擦られた。
「ひぁっ、あっ、あっ、気持ちいい、ビクトルにされるの好きぃっ」
「可愛いな、リノ。イッていいぞ」
「あぁっ、いく、いく、あっ、あっ、ああぁっ」
既に限界ギリギリまで高められていた体は、あっけなく絶頂を迎えた。がくがくと震えながら、精を吐き出す。ビクトルの手がそれを受け止めた。
「あ、はあっ……ビクトル……」
「リノ、あとは? なにをしてほしい? なにをされたいんだ?」
耳朶を甘噛みされ、きゅん、と後孔が疼いた。
陶酔したように思考が溶けた状態のリノは、体が望むままに口を開く。
「ビクトルの、おちんちん、入れてほしい……僕の中、奥までビクトルでいっぱいにして、たくさん擦ってほしい……おちんちんで、奥、ずんずんされたい……僕の中でビクトルに気持ちよくなってほしい……それで、僕のお腹に、ビクトルの熱いの出して……」
「リノ……っ」
強く抱き締められ、やや強引に顎を横に向けられ、唇を貪られた。食べられてしまいそうな激しいキスに、リノは翻弄される。
じゅるじゅるとリノの口内を思う様味わい、ビクトルは口を離した。
「っくそ、写真だけじゃ全然足りない……音声も残るように……いや、映像で……」
ビクトルはなにやらぶつぶつ言っていたが、リノはよく聞き取れなかった。
「ビクトル……?」
「悪い。リノのしてほしいこと、すぐにしてやるからな」
そう言って、ビクトルはリノの腹部に手を当てた。
魔法が発動する。それから彼はリノの体を四つん這いにした。腕に力が入らず、リノは腰だけを突き出すポーズになる。
「リノのむちむちのお尻……」
興奮したように呟いて、ビクトルはリノの尻に手で触れる。今度は臀部をぐにぐにと揉まれた。
「ふあぁっ……」
いやらしく腰をくねらせるリノの媚態を、ビクトルは目に焼き付けるように見ていた。
彼の視線に気づかず、彼の目から自分がどのように見えているのかもわからず、リノは臀部を揉まれる刺激に腰を捩る。
「あ、はぁんっ……」
もどかしげに揺れるリノの下肢に、ビクトルは顔を近づけた。
熱い吐息を臀部に感じ、リノはびくりと震える。彼がなにをしようとしているのか気づいて、思わず声を上げる。
「あっ、だめぇ、ビクトル……っ」
制止の声は聞き入れられず、晒されたアナルにねっとりと舌が這わされた。
今までもされたことがあるが、魔法で洗浄されているとはいえ、そこを舐められるのには抵抗がある。
「やぁっ、そこ、舐めちゃだめっ、あっ、ひぅんっ」
尖らせた舌がくちくちと孔を穿る。
ビクトルの大きな手が双丘を鷲掴み、襞を丁寧に執拗に舐め回す。
唾液をたっぷりと塗され、綻んだアナルに舌が捩じ込まれた。
「ふゃんっ」
粘膜が擦れ合う感触に、リノは身悶えた。
後孔は悦ぶようにぱくぱくと口を開け、彼の舌を更に奥へと迎え入れようとする。ぬめった舌が、中をにちゅにちゅと掻き回す。
「やぁんっ、そんなに、舐めちゃ、だめぇ」
「なんで? 気持ちいいだろ?」
「ひゃうんっ」
「ほら、リノのここ、もっと舐めてほしそうにしてる」
「あっ、あっ、ぬるぬる、するぅっ」
「気持ちいいだろ?」
「いい……きもち、いいっ、あっ、ひんっ」
なにも考えられず、リノはもう自分がなにを言っているのかも理解できていなかった。
「俺に舐められるの好きか?」
「好き、好き、ビクトルに舐められるの、好きぃっ」
「はあっ、可愛い、リノ……」
「んはあぁっ」
ビクトルがひくつくアナルにむしゃぶりつく。唾液でべとべとにふやけるまで舐め尽くされ、くぱりと口を開けたそこに、今度は指を差し込まれた。じゅぽじゅぽと出し入れしながら、ビクトルは会陰を舌で辿り、ふるふる揺れる陰嚢をぱくりと咥える。
「ひぁんっ、そんな、舐めちゃ、やあぁっ」
舐めてしゃぶられ、リノは快感に喘いだ。
後孔が埋め込まれた三本の指をきつく締め付ける。
「びくとるぅ、お願い、もうおちんちん入れて、ビクトルのおちんちんほしいよぉっ」
腰を揺らし、涙ながらに懇願する。
ビクトルはそこから顔を離し、指を引き抜いた。
「やっぱり映像として残せる魔法が必要だな……」
ぽつりと零された呟きは、リノの耳には届かなかった。
腰を掴まれ、熱塊が後孔にあてがわれる。それだけで、リノの体は期待に震えた。ゆっくりと肉棒がめり込む。
「はっ、あっ、あっ、あっ」
ずりゅずりゅと、腸壁を擦り上げながら楔が奥へ奥へと押し込まれる。体の中を押し広げられる圧迫感と、それを上回る強烈な快感。
嬌声を上げ、涙を流し、リノは埋め込まれる雄蕊を受け入れた。
「リノ、大丈夫か……?」
「ぅんっ、ビクトルの、いっぱいで、気持ちいい……っ」
浅い呼吸を繰り返しながら答えれば、ビクトルの体が背中に覆い被さってきた。
後ろからリノの体を抱き締め、まさぐる。
「ビクトルも、気持ちい?」
「ああ。リノの体、どこもかしこも、全部、気持ちよくて堪んねえ」
体勢のせいで僅かに垂れ下がった胸を、ビクトルは感触を楽しむように両手で揉む。それから、ビクトルの陰茎の大きさに馴染んだ直腸を少しずつ擦り、奥を突き上げる。
「ひゃうっ、うんっ、あっ、うれし、もっと、気持ちよくなってっ」
「リノ、リノ、可愛い、好きだ……っ」
「あんっ、好き、僕も好き、ビクトル、あっ、ひ、大好き、んあっ、あっ、ふぁんっ」
徐々に律動は激しくなる。
ビクトルは片手で胸を揉みながら、もう片方の手を下半身へ伸ばした。既に勃起していたリノのぺニスを手の中に包み込む。
「ひあっ、だめ、そこ、触っちゃ、あっ、また、すぐいっちゃ、いくからぁっ」
全体を扱かれ、先端をちゅくちゅくと指の腹で擦られ、痺れるような快感が一気に駆け抜ける。同時に乳首を撫でられ、内奥を穿たれ、我慢などできなかった。
「っは、すげ、締まる……」
「いくいくっ、あっ、あっ、っ~~~~!」
シーツの上に体液が飛び散る。
体から力が抜けそうになるが、ビクトルの手がリノの腰を支えた。彼はまだ達していない。リノは懸命にベッドについた膝に力を入れた。
「んは、あぅ……ビクトルも、気持ちよくなって……僕の中に、いっぱい出して、ぇ、あっ、あぁっ」
「はあっ、リノ、はっ、はっ」
ぱちゅんぱちゅんと激しく中を穿たれる。
前立腺をごりごりと亀頭が抉り、強すぎる快楽にリノはきつくシーツを握り締めた。
「ああぁっ、あっ、ひぅっ、びく、びくとぅ、んあっ、あっ、はひっ」
肉筒を擦り上げながら、何度も楔で奥まで貫かれる。リノは先ほどから中で絶頂を極め、痙攣する直腸が剛直に絡み付く。
ビクトルの動きはどんどん早くなり、彼の限界が近いことを伝えていた。
「あっ、ひっ、出して、びくとる、中、僕の中、出してぇっ」
「っリノ……」
低い呻き声と共に、お腹の奥でどくりと熱が爆ぜるのを感じた。どぷんどぷんと熱い体液を注がれ、リノは残らず搾り取るようにアナルをきつく窄めた。
「はあっ、ああ、リノの中が、旨そうに俺の精子飲み込んでる……」
ビクトルが感嘆とした呟きを漏らした。
彼は自身を抜かないまま、リノをうつ伏せに寝かせる。その上に、ビクトルの体が重なった。
ぴったりと体がくっつき、彼の鼓動と重みを背中に感じ、リノは幸せな気持ちでいっぱいになる。
「ありがと、ビクトル……僕の中、いっぱいに、してくれて……」
くったりとベッドに身を預け、息を整えながらリノは言った。
挿入されたままの陰茎が、むくりと膨らんだような気がした。
「でも、ごめんね……ビクトルが、満足するまで、触ってもらおうと思ってたのに、僕、我慢できなくて……」
「気にするな、リノ」
ビクトルは上半身を起こし、殆ど脱げかけていたリノのシャツを脱がせて床に落とした。それから再びリノと体を重ねる。
ベッドとリノの間に差し込まれた彼の手が、リノの胸をむにゅむにゅと揉んだ。
「びく、とる……?」
「まだ、時間はたっぷりあるから」
「は、え……?」
「これから、満足するまで触らせてもらう」
熱を帯びた声で囁き、リノのうなじを舐め上げる。
埋め込まれた陰茎は、完全に熱を取り戻していた。
ビクトルの両手は、リノの胸を揉んでいる。
「ああ、リノのおっぱい、気持ちいい……」
うっとりとした呟きを、リノは呆然と聞いていた。
少しだけ、ほんのちょっとだけ、ダイエットしようかな、とリノは考えた。
たとえ痩せたとしてもビクトルは変わらずリノの胸を揉むのだが、リノはそのことを知らない。
再び訪れる快楽の波に身を委ね、リノはそっと目を閉じた。
了
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