42 / 90

四十二話 甘美な指先

 ひとしきり楽しそうに観察を終えると、康一は使い捨てのローションパックを開けて手のひらに取り出した。ぬるぬるするローションを手に馴染ませ、尻の方へ手をやる。指先が、窄まりに押し当てられた。 「挿れますね」 「っ……」  つぷんと、指先が穴に埋まる。ローションの滑りを借りて指の付け根までぬぷーっと押し入れられた。指が中で動く。康一はにゅぷぬぷと指を出し入れしながら、指をコの字に曲げたり腸壁を擦るように刺激していく。  じゅぷじゅぷと音がする。ローションと腸液が混ざって、濡れた音が響く。 「んっ、く……、ふっ……」  少しずつ解され、もどかしい快楽が下半身を襲う。直接性器に触れない快楽は、もっと激しくして欲しいような気持ちにさせられた。指が増え、掻き乱される感覚が酷くなっても、決定的な快感には至らない。  じっとりと、額に汗が浮く。次第にだらしがなく脚が開いて行く。 「うっ、ん……、はぁ……っ、はっ……」  俺ばかり息が上がっている。康一はじゅぷじゅぷと指を動かし、時々穴を拡げるように指を開いて見せた。 「感じてます?」 「っ、んっ……!」  そんなこと、見れば解るだろうに。俺が浅く呼吸をしながら熱っぽい目で康一を見ると、康一は指をぐりっと動かして、コリコリした部分を刺激した。 「んんっ!」  一瞬、息が詰まりそうな快感が痺れとなって突き抜けた。反射的に唇から唾液が溢れる。 「あ、あっ……」 「悦くしてあげますね」 「っ、や……、ああっ!」  指がグリグリと前立腺を刺激する。激しい快感に、脚がシーツを蹴って空を掻いた。 「いぅっ! あ、あっ……!」 「良い声で鳴いてくれますね」  意地悪な声に、唇を噛む。だが、激しい刺激に一瞬も持たず喘ぎ声が口をつく。 「あーっ、あっ、あ、あっ……!」  知らず、涙が滲む。何度もそこばかりせめられて、おかしくなってしまう。 「あっ、あ、康……一っ、さんっ!」  甘く切ない息を吐き出したところで、康一はずるっと指を引き抜いた。 「く、んっ……!」  中でまだ指が蠢いているようだ。きゅんきゅんと穴が勝手に閉じたり開いたりしているのが解る。  ハァハァと息を吐きながら、康一を見る。康一は少しだけ余裕無さそうに微笑んで、コンドームを装着した。 「寛之さん……、すごく、欲しそうな顔、してますね」  その言葉に、ゾクッと背筋が粟立つ。言い当てられたようで恥ずかしい。顔を隠したかったが、手で覆おうにも手錠が邪魔して出来ずに、僅かに顔を背ける。それをさせまいとするように、康一は俺の顎を掴んで乱暴にキスをした。 「今度は、こっちで可愛がってあげますね……」  そう言いながら、康一は肉棒の先をアナルに押し当てた。わざと焦らすように、先の方でくちゅくちゅと敏感な表面を擦られる。 「う、んっ……、ぁ」  切なくて腰を捻り、甘い愛撫に陶酔する。 (はや、くっ……)  早く康一の肉棒で、中を掻き乱して欲しい。滅茶苦茶に突き上げられても良い。アナルばかり弄くられ、限界だ。自分では触れられない状況が、余計にそうさせる。 「……欲しいですか?」  解っているくせに、俺をこんなにしたのは、康一のくせに。まだ残っている理性が、酷く羞恥心を煽られる。それでも、言わなければくれないのだと思うと、選択肢はない。 「ほ、欲しいっ……です…。挿れ、て……康一さん、の……」  言い終わるか否かと言うところで、尖端で解されたアナルを虐めていた肉棒が、じゅぷんっ! と一気に中へと入ってきた。  抉られるような感覚に、圧迫感同時に激しい快楽が腰から脳を突き上げる。 「―――っ!!」  ドクドクと、繋がった箇所が脈打つ。腸内が脈打っているのか、康一のペニスなのか。あるいは、両方か。  じんじんと、肉を割り開かれた痛みが後から響いてくる。尻に康一の腿が当たった。深く突き刺さったまま、楔のように穿たれてしまった。 「あ―――、んぅ……」 「寛之さんは、美味しそうに咥えてくれますね」 「っ……」  揶揄するような康一の声に、文句を言いたかったのに、何故か言葉は出てこなかった。

ともだちにシェアしよう!