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第7話

「おまえ、優也を泣かせたな⁉」  デートして、夜に電話した翌日、僕は学校に行くなり、町田に男子トイレに連れ込まれた。  W大は共学だが、理系の学校のため、女子が異様に少ない。  男子トイレは混みがちなので、違うフロアの男子トイレに連れていかれた。  見た目が愛らしい優也は学園のアイドルの如く、君臨している。  ナイトのように横にいつもいるのは町田。  身長186で、中学の頃はアメフトをしていたガチマッチョ。  ゲイにはモテるが、男でもカワイイ子か美人にしか興味のない僕はここまで筋肉がついた男を見たら怖いの一言だけだ。 「え……?」 「別れたいとか言ったって泣きながら電話してきた」 「だって、僕、優也の作ってきた弁当を半分も食べられなくて……」 「優也の愛は全部食え! 俺が譲ってやったのに、どうしておまえみたいな奴が優也の彼氏なんだ!」  どんっと壁を殴りつけると、壁がみしみしいった。  怖すぎる。  だが、町田の目は涙に光っていた。 「譲ってやったって……君のために大塚と付き合ってるわけじゃないんだけど……」 「じゃあ、どういう理由だ⁉」 「優也が可愛いから」 「体目当てか⁉ 面食いか⁉ そんな理由、許せん!」 「見た目だけじゃなくって、わらった時に口角が上がるのとか、動き方とかもカワイイ……」 「ふん。まあいい。アイツを泣かせたら、承知しないからな!」  町田は引き連れてきたサッカー部員の、石田、佐藤、宮下を連れてトイレから出ていった。  殴られるかと思った……。 「ちょっと、何してるの!」 「ひっ……優也⁉」  町田が教室に戻ろうとした時に、大塚に見つかってしまった。 「ねえ。僕の春樹がいないんだけど、知らないよね? イジメたりしてないよね?」 「いや……その……」  トイレから戻ってきた僕を見つけるなり、大塚は町田を物凄い形相で睨んだ。  町田は身長が170もない細マッチョの優也に睨まれて、ご主人様に内緒で食べ物を勝手に食べた犬のように青ざめてガタガタと震えだしたが、彼が怯えるほどなのか……? 「ねえ。何もしてないよね?」  町田は僕に救いを求めるように泣きそうな表情で視線を向けてくる。 「うん。何でもないよ。売店で買ったジュースを飲んだらトイレ行きたくなって」 「そっか」  僕が適当に返事をすると、優也はそれまで恐ろしい形相をしていたのがウソのように愛らしい顔に戻った。 「授業、隣座ってもいい?」 「僕、竹内にノート見せてもらってるんだ。彼が隣」 「なら、君の後ろに座るね♡」  町田は気まずそうに僕らから離れていった。

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