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第7話

 ためしに騎乗位で涼太郎を翻弄している場面を想像してみる。射精するまで秒読み段階に入りしだいペニスの根元をぎゅっと握ってあげて、それと並行して内壁をうねらせる。  題して、よがり地獄。  アメフト部の猛者(もさ)さえも、ひぃひぃ啼いたあげく悶絶した技だ。涼太郎もきっと、イカせてくれと懇願するに違いない。その間もペニスはいっそう猛り狂って、イイトコロを突いてくれるだろう。  これぞ、快感の無限ループ。  ひと(むら)の彼岸花が道ばたに彩りを添える。金木犀の香りをふくんだ夜気は甘く、演出効果満点だ。  羽月は、やおらフェロモンの出力をあげて、有望株と睨んだペニスをたらし込みにかかった。白石涼太郎くん、きみは果たして何秒で落ちるかな。わくわく、わくわく……往来で勃ってしまい、うろたえるさまを拝めるかと思いきや、澄んだ目を向けてきた。 「先輩は法学部だと聞いたが、司法試験を視野に入れているのか」 「無理無理無理無理、おれは、ふつうに民間の企業に就職する予定。福利厚生がしっかりしてる会社なら業種にこだわりないから、どこかの会社にはもぐり込めると思うんだ」  この場合の福利厚生とは、全社員における男性社員の割合と年齢層だ。粒よりのペニスがよりどりみどり、という環境であればあるほど労働意欲が湧く。などと、馬鹿正直に答えるやつはいない。    それはさておき()を進めるのにともなって、尻の割れ目に下着が食い込む。自然と悩ましい吐息がこぼれる。実は一丸の化粧室で後ろにローションを塗り込めがてら、いくらか(なか)をほぐしておいたのだ。ついでに生き残りの蚊対策で、局部周辺に虫よけも塗ってきた。  いつ、いかなる場所で挑まれようとも、ためらわずにボトムを下ろす。それはビッチの矜持であり、エチケットだ。即ち、そのへんの暗がりでといくにやぶさかではないのだ。  それより、涼太郎が未だにむしゃぶりついてこないとは異常事態だ。かくなるうえは、もうひと目盛り分フェロモン放出……!  と、歩行者用の信号が赤に変わった。一台も車は通っていないのに、涼太郎は白線の手前で立ち止まる。その横顔は(すが)やかで、デニムの前も平べったい。  羽月は、しきりに首をかしげた。たいがいの男はとうに数発は放っているほど大量のフェロモンを浴びたにもかかわらず、ペニスがぴくりともしないとは、どういう構造のものをぶら下げているのだ。そうか、ニブちんなんだな。ならば、と掬いあげる角度で凛々しい顔を覗き込み、はんなりと微笑んだ。

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