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第34話

「ん、ん、んー……っ!」 「まず、木の実をご馳走にあずかるか」  膝の裏が彼の肩に載るかたちにおれの腰を抱え込んだうえで、設楽は蜜の袋を口に含んでふたつの珠を交互に舐め転がす。それと並行してギャザーが解き伸ばされて、ひと襞、ひと襞、かき混ぜられると嬲ってほしげに茎が張りつめ、蜜がぬらぬらと糸を引く。 「ふ、う……ん、っ!」 「この雫の芳醇さは貴腐ワインに匹敵する」  草むらで(みだ)りがわしげに上下する頭を抱え寄せて、舌をねじ切るように吸いしだくキスで設楽を黙らせた。設楽が虚を衝かれたように腰を引けば溜飲が下がり、で、後悔した。 「冬哉は感じやすくて、さえずる声もうるわしい。つまり、いじめ甲斐がある」  指が内奥に分け入り、ゆるりと律動を刻む。 「慎ましげでいて貪欲だ。襞が、わたしの指を食いちぎらんばかりに収縮する」 「知るか……よ……、あ、そこ……やっ!」  ほころんで、すぼまって、嬉々としてそれをもてなす襞を征服するようにじりじりと筒をさかのぼる指が秘密の釦を探り当て……、 「ん、ぁあ……っ! ひぃっ!」  官能の中枢をひと突きされて、快感のパルスが全身を駆け巡った。なのに茎の根元を締めつけられて達しそびれ、狂おしく髪を振り乱すおれを尻目に、設楽はうそぶく。 「我慢するのも冬哉、(おもむき)があるものだ」  中指に続いて人差し指が門をくぐり、ひしめく。依然として吐精は堰き止められたっきりの状態で内壁に淫技がほどこされて、その間もおれの形に狭まった頬の内側の柔壁が茎にじゃれついて、これは、もはや拷問だ。 「も、ダメ、イキ……た、あ……っ!」   よがり啼く合間に涙声でせがみ、だけど黙殺された……うえに設楽は先端をねぶりたおす一方で肉の芽をこすり立てて、あくどい。 「イクって言ってるだろ! やだっ、あっ、ふ……、お願い、もっ、イカせてぇ!」  あと、ちょこっと刺激があれば極める寸前で繰り返しはぐらかされて下腹部が重苦しい。(なか)(ほしいまま)にふるまう指を食いしめ、腰をうねらせてむずかり、蕾がふやけるほどに痴態を演じたすえに、やっと(いまし)めがほどかれる。 「ん、ぅ、──……くぅっ、あ、ぁあっ!」  その一件が時効を迎えるころ、設楽はあのしつこさは計算ずくの所業だったと白状した。おれに取り憑いて離れないの幻影を葬り去るには、より強烈な印象を刻みつけるのがいちばんの早道だと計算した──と。

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