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俺のかわいいわんこ(第4話『わんことごろごろ』3)
朝倉は俺の腰を抱え直した。また、なかをいっぱい擦られる。そう思った俺は呼吸を整えた。朝倉は俺のものにふれた。
「俺の前に」
「あ……」
「橋本。おまえが気持ちよくなって」
「あ。あ」
朝倉は慣れた手つきで、俺を昂らせていく。腰からつま先にかけて、びりびりした快感が走る。
「ん、あ!」
俺は白濁を放出した。荒い呼吸のまま、朝倉に笑いかけた。
「あ、朝倉……次はおまえの番だよ」
「わかった」
朝倉が腰を動かす。ゆっくりと、けれど確実に、俺のいいところを突いてくる。
「あ、ん、もっと、はあ、激しく、して、いいのに……」
朝倉は首を振った。穏やかな笑みを浮かべながら、俺を抱いた。
俺は朝倉の腕に収まっている。朝倉の胸に、のの字を書きながら、俺はつぶやいた。
「今日の朝倉、すごく優しかった」
「あれで乱暴に抱いたら、完全に狂犬だろ」
「朝倉は忠犬なんだね」
「早く餌をくれなきゃキレるけどな」
「あはは」
「ほら、もっとくっつこう」
「うん」
ふたりで体を寄せ合う。俺は朝倉の胸に両手を置いた。静かな鼓動を聞いて、目を閉じる。
「眠いのか?」
「ん……」
キスをするとき。愛撫するとき。抱き合うとき。幾度もふたりでふれあった。
どんなふれあいかたをしても、愛されてるってわかる。だって……。
「橋本。愛してるよ」
抱いたあとは必ず、俺に愛の言葉を告げてくれるから。
「知ってる」
「ははは。起きてたか」
「俺も言いたかったから。好き……じゃなかった、愛してるよ、朝倉」
「はー、かわいすぎる」
「あれ、かっこいいんじゃないのか?」
「抱かれたあとのおまえは、かわいさ二倍増しになるんだよ」
朝倉は微笑んで、俺の額にそっとキスをした。
落ち込んだり、すねたり、怒ったり。くるくる表情が変わる朝倉を見ていると、ほんと楽しい。
ふれあうときの朝倉は、ぐっと男らしくなる。
そして、抱き合ったあとに俺を見つめる瞳は……。
俺は朝倉をじっと見つめた。
「俺、朝倉の恋人になってよかった」
「なんだよ、急に」
朝倉は|蕩《とろ》けるような笑みを浮かべている。このまなざしは、俺だけのものだ。朝倉が愛してる人にしか見せない顔。
俺が独り占めできる、かわいいわんこの顔だ。
【第4話おわり】
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