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EP.24

 ぎしぎしと、セミダブルのマットレスが悲鳴を上げる。  日本人の平均よりも大きな体を持つ2人がベッドの上に乗っていれば、そんな音が出てくるのも当然だった。  海は想像以上に性に貪欲だった。決して布団から体から出さないまま、一度鞄を取りに戻り潤滑液やら玩具やらを次々出してくる。そしてそれを泉帆からは見えないように使い、後ろへと埋め込んでいた。 「ぁ、あ……」  初めてこの目で直接見る、何かを体に挿入されて快楽に溺れる姿。海は玩具を手で動かしながら、泉帆のことを片手と舌で翻弄し続けた。  じゅぷじゅぷと音を立てて口腔でのピストンを繰り返し、根元から先端までを舐め上げ尿道を割れた舌先で弄られる。思わず腰を跳ねさせ逃げてしまっても海は一切攻め手を緩めることはなかった。  何度も口で絶頂させられ、海も時折荒く吐息を漏らしながら腕を動かして嬌声を上げているので達しているのだろう。それでも海は無尽蔵なのか、泉帆を組み敷いたままに何度もキスを強請ってきた。 「海くん、俺がしてあげたいんだけど」 「んー? だぁめ。今日の夜まで触るのは待って」  今夜避妊具を買ってくれば触らせてくれる。だが、今は駄目。海はそう告げ、泉帆の上で玩具を使い乱れた。  無尽蔵の性欲を見せられ、それにも興奮してしまう。腰に巻いていたバスタオルは一切外すことなくその下を見せられることもないが、ちらちらと見える大腿に伝う白い体液に下がどうなっているかなんて同性だからすぐにわかった。  自分が、こうしてあげたい。  泉帆は海の肌に触れ、上体を起こしキスをした。 「んん……っ」 「海くん、本当に気持ちいいことが好きなんだね。自分でするのがそんなにいい?」 「だってみずくん、男同士のえっちなんて見たことないでしょ。大好きなおっぱいならともかくこの下なんてまだ見せられないよ」 「見たい。見せたくないならこのままでもいいけど」  大腿を撫で、バスタオルの内側に指を差し込む。唇を何度も食みながら懇願すれば、海は体液で塗れた指を大腿に這わせた手に絡めてきた。 「まだ見せたくないから、このままでね」  まだ布団は被ったまま、腕を海の背後まで回される。誘導され触れたのはプラグの先端だった。指先で摘むように触れ、海の誘導通りにそっと引き抜くと抱きつかれ、耳元で吐息を漏らされた。 「ぁ、ん……」 「これ、もう一回挿れればいいの?」 「ぐぽぐぽされんの、好きぃ……」  甘えてくる海の要望通り、小さなプラグの抜き差しを繰り返す。時折不意をつくようにリズムを変えれば、海はその度にびくんと腰を跳ねさせ、泉帆の耳に噛みついた。 「だめ、だめぇ……」 「気持ちいいんだろ?」 「あ、ぁ、あぁ、だめ、だめだって、だめ」  次第に大きくなっていく甘ったるい声までも喰らい尽くすような荒いキスで唇を塞ぐ。何度も唇を食み、何度も緩急をつけて抜き差しを繰り返し続けていれば海は理性も蕩けてしまったようだった。  全体重を預ける形で泉帆にしなだれかかり、もっとしてほしいと腰を突き出し強請る。  本当に無尽蔵。泉帆は海が望むまま、何度でもプラグで弄り続けた。  海が満足したのは夕方に差し掛かる頃だった。  流石にずっと裸でいると風邪をひいてしまうからと自分の持っている服の中でも特に大きいものを着せ、下着は洗濯が終わるまで替えがないから下半身には布団をかけてやった。  まだ自分にぴたりと身体を寄せ甘えてくる海を抱き締め甘やかしてやりながら、手当もできていない傷の縁を指でなぞる。 「ちゃんと、海くんは悪くないことはわかってもらえた?」 「怒ってどっか行っちゃったみたいだし、わかんないやぁ」 「そういうことは時間がかかってもちゃんとわかってもらえるようにしないとね。もし拗れるようなら俺に伝えてほしいな」 「おまわりさんだから?」 「それもあるけど、海くんが心配だから。もう動ける? ちゃんと手当もしないと。早く海くんのこと温めたくてうっかりしてた」  満足した直後は膝も震えて立てなくなっていたようだったが、少し待てば多少は動けるようになったようだ。海は起き上がり、救急箱を取るためベッドを下りた泉帆に後ろから抱き着き耳元で囁いた。 「早くゴム買って来てね、夜もずっとあっためてほしいから」  あんなに喘いで、達して、歩けなくなる程にし続けたのに。  やはり無尽蔵。泉帆はその魔性の甘い声に、小さく頷くしかなかった。

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