何度も射精しても、終わらない。 　海も自分は絶倫だと自覚しているが、泉帆は更にそれ以上だった。 　他の男ならもうとうに体力も尽きている時間だというのに、現役の警察官故か興奮している呼吸の乱れしか生じていない。それでも理性は飛んでしまっているようで、目の前の海のことしか見れていない状態。 　体力底なしの絶倫。しかも早漏。ずっと背面でしていたからか獣じみたセックスにしか思えない。 　まだ、正面から抱き合う覚悟はできていない。海はずっと四つん這いのまま、泉帆によって何度もS状結腸を刺激され枕で声を押し殺していた。 「ォ、オ゛ッ、あぁ、あ゛ー……っ」 　いつもの可愛げを滲ませた声色なんて出ない。それこそ獣のような低い嬌声だ。海は何度目かもわからない絶頂に体をびくんと震わせながら、泉帆の名前を呼んだ。 「み、じゅ、みずくん、みじゅ、ぅっ」 「なに？」 「ぎゅう、して、ぎゅって、ぎゅう」 　少しだけ、休憩したい。後ろからでいいから抱き締めてほしいと望めば、泉帆は腰を振るのを一度止める。 　そして一度欲を引き抜き、海をベッドの上で転がした。 「わ、ぁ」 「海くん、やっと正面からさせてくれる気になったの？」 「ちが、ちがうの、ちがっ、うぅっ」 　元から非力で、今は快感で全身に力が入らない。海はあっという間に仰向けにされ、大きく足を開かされてしまった。 　絶対にまだ見せたくなかったのに、泉帆の前に全てを曝け出してしまう。 　泉帆ほどではないものの、日本人よりは大きなそれは海が自分で触れていたから精液や潮に塗れて濡れていて、中を刺激されているから芯を持たずに柔らかい状態。 　泉帆の目から隠したいと手を伸ばすけれど、それより早く泉帆は指を這わせてきた。 「みずくん、やだ、やだ……」 「萎えてないから。ねえ、俺も舐めたほうがいい？」 「だめ、絶対やだ、触んないで、見ないで……」 　今はただ快楽によって麻痺しているだけだ。正常に戻ったら後悔させてしまうかもしれない。 　海が何度も隠そうとしても、泉帆は全く聞いてくれない。それどころかまだ初めから全く変わらずに勃起しているそれを挿入するため、腰を大きく引き寄せ押し付けてきた。 「この状態でピストンしたら、俺のお腹で擦れて気持ち良くなるかもね」 「や、やぁ、だめ、やっ、ぁあ、あ、ん」 　散々貪り続け完全に緩みきったそこへと、泉帆はまた入り込んでくる。体を密着させキスまでされながらの揺さぶりに、海は蕩けてしまった。 　お兄ちゃんは、体格差がありすぎて挿れながらキスしたことなんてなかった。遊んできた男達とは元からキスなんてしたくなかったし、背面で好きなだけ掘らせるか騎乗位で搾り取るかだけ。 　抱き締められて、全身が密着したままキスをされながらのピストンなんて初めて。泉帆にしか、されたことがない。 　唇が離れ、肌の温もりが離れていくと反射的に腕を伸ばしてしまう。泉帆はふっと笑い、その腕を掴んで押さえつけるよう高速で腰を動かした。 「ぁ、あ、あぁっ、や、はげしっ」 「嫌だって言ったのに、お腹で擦られながらキス続けたかったんだ？」 「っ、そう、だよ、して、もっと、きもちぃ、っあ、ア、ぅ」 　泉帆に揺さぶられることで柔らかさを持つ胸が上下に揺れる。欲望も、泉帆の下腹部に何度も当たり皮膚がぶつかる音は耳に響いた。 　そんなはしたない姿を見られるくらいなら体を密着させてキスしていたい。海の願いも虚しく、泉帆は暫くそれを眺めていた。 「海くん、すごい絶景。可愛いよ」 「ぅ、うぅ、んっ、ぁ、やだぁっ」 「もうちょっとだけだから」 　声だって我慢できない。隣に住んでいる人がどんな人かも知らないし、空き家なのかも知らない。絶対に迷惑がかかってしまうのに。 　海は、もう限界だと泣きそうになりながら懇願した。 「ちゅぅ、して、みずくん、ちゅう、声、でちゃうから、ぁ」 　せめて、塞いでほしい。際限なく声が溢れてしまうからと言えば泉帆はわかったと頷き、一度最奥まで押し込むように強く腰を動かした。 　結腸をごりゅ、と刺激され、意識が飛びそうになってしまう。海は堪らず絶頂し、これまで何度出したかもわからない潮を勢いよく噴き出してしまった。