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第25話

ハタと目を開けると、シルヴァの姿が無い。 まだ夜の帳は降りたままなのに……。 ふいに不安になると、シルヴァが部屋に戻って来た。 ベッドから身体を起こす俺を見て 「多朗? 目覚めたのか?」 柔らかい笑顔を浮かべ、俺に近付く。 「まだ朝までに時間があるから、寝ていて良いんだよ」 額にキスを落とされ、シルヴァが微笑む。 「でも、まだ最後までしてない」 そう呟いた俺に、シルヴァは苦笑いを浮かべて 「無理しないで大丈夫だよ。多朗は多朗のぺースで良いんだから」 そう言われて、ふとシルヴァの下半身に目をやると普段の形状に戻っていた。 恐らく、一人で処理したんだろう。 俺の身体も綺麗に拭かれていて、桶も何もかも綺麗に無くなっている。 (あぁ……、最後まで出来なかった) ガッツリ落ち込んでいると、シルヴァは俺のベッドに腰掛けて頭を撫でると 「気に病む必要は無いですよ。多朗は、初めてなのに頑張ってくれていました。ありがとう」 そう言って額にキスを落とす。 俺が口をへの字にして 「結局、お前のを自己処理させちまったじゃないか……。俺はちゃんと、最後までしたかったのに……」 ごにょごにょ文句を言っていると 「まだ、旅は始まったばかりです。これから毎晩慣らして行きましょう」 笑顔で言われ 「はぁ? あれを毎晩?」 と顔を引き攣らせて呟くと、眩しい笑顔で 「勿論です! 僕達は新婚ですからね」 そう言って、シルヴァは何故か俺のベッドに潜り込んで来た。 「おい!何で当たり前のように、俺のベッドに入り込んでるんだよ」 「多朗はSEXの時しか、一緒のベッドに居ないつもりかい?」 あからさまに言われて、思わず赤面すると 「多朗。ツンでデレなのは分かるけど、夫夫たるもの。片時も離れたらダメだろう?」 生クリームみたいな甘い笑顔を浮かべ、シルヴァが俺を抱き寄せた。 フワリとシルヴァの匂いが鼻腔を掠め、変な気分になる。 身体が反応してしまい、ちょっとズラして誤魔化そうとすると、腰を抱き寄せられて 「多朗、何でちょっと勃ってるの?」 クスクスと耳元で甘く囁かれ、身体がビクンと反応する。 「ご要望とあれば、いつでもお相手致しますよ」 耳朶を食まれ腰を抱き寄せられると、シルヴァも少し反応している。 首筋に唇を這わしながら 「多朗? どうして欲しいですか?」 と囁かれて、俺は恥ずかしさの限界MAX! シルヴァをベッドから蹴り落とし 「一人で寝かせろ!」 そう叫んで掛け布団を頭から被った。 「多朗は乱暴だなぁ~」 と言いながら、シルヴァが隣のベッドに入る衣擦れの音が響いた。 ホッと息を吐いて、俺はゆっくり深呼吸をして反応した俺自身を沈めると、そのまま深い眠りに落ちて行った。

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