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第42話
「で?魔力の暴発とやらは、どのくらい溜まったら起こるんだ?」
何気なく聞いた俺が悪かった。
シルヴァはキラキラした目をして
「今日は大丈夫だよ。でも、夜もしないとダメだからね。まずは多朗の器が、僕の器をすんなり受け入れられるようになるのが先決だからね。本来なら、1週間は一日中交わらないとならないんだから!」
と、「感謝してよね!」とでも言いたそうにシルヴァが言いやがった。
「え?……て事は、今夜も抜かずの……」
「朝出したから、夜は5回で大丈夫かな?」
って、平然と言いやがった。
「お互いの魔力が完全に中和されれば、親族と同じように存在するだけで暴発しなくなるんだよ」
シルヴァの言葉に、思わず疑いの眼差しを送る。
だってそう言われたら、お互いの魔力?が中和されるまでは、暇さえあればしなくちゃならないわけだろう?
そう考えていると、シルヴァは神妙な顔をして
「まぁ……石の中には、魔石と言われる石が存在していて、それは各神の力を封じる事が出来るらしい。」
と呟いた。
「へぇ~。じゃあそれを使えば、そんなに毎日セックスしなくても良いじゃねぇか」
「その代わり、全く魔力が使えなくなるんだ」
「全く?」
シルヴァの意味深な言い方に聞き返すと、シルヴァは頷いて
「そう。魔石が全てを吸い上げてしまい、普通の人間のようになってしまうんだ」
そう言うと、窓の外を見つめた。
「魔石の持ち主が正しい人間なら、問題にはならない。もし、悪い人間に魔石が渡ったら……」
「渡ったら……?」
「吸われた魔力を使い、悪事を働く輩が現れてしまうんだ。だから、王室で魔石の使用を禁止している程に危険な物なんだよ」
シルヴァの話し方から、なんとなくもっと深い闇が隠されているような気がしていた。
「だから多朗と早く中和されれば、魔石で僕の力を失っても、多朗の中に僕の力が残る」
シルヴァはそう言うと、小さく微笑んで
「という訳だから、今夜も多朗をたくさん抱くからね。体力と精力を付けるために、ご飯はたくさん食べようね」
そう言うと、俺を抱き締めて頬擦りして来た。
「止めろ!」
「多朗。照れちゃって、可愛いなぁ~」
「はあ?照れてるんじゃなくて、マジで嫌なんだよ!」
「もう!本当に多朗はツンでデレだなぁ~」
シルヴァのいつもの調子に惑わされて、俺はシルヴァが抱えている苦悩に気付いて上げられなかった。
……なぁ、シルヴァ。
この時、お前の変化に気が付いていたら、俺達はあんな事にならなかったんじゃないかと悔やんでしまうよ。
お前はいつもその笑顔の陰に、ヒタヒタと近付いて来る変えようの無い未来に怯えていたんだろうな。
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