45 / 107

第45話

「多朗……」 頬に触れられ、目を開けてシルヴァの顔を見上げると 「あなたに出会えて、僕は幸せです」 目を細めて優しい笑みを浮かべたシルヴァの色気が半端ない。 「シルヴァ……俺も」 そう答えて微笑み返した。 俺の言葉に、シルヴァが泣き出しそうな笑顔を浮かべ 「多朗、あなたはそうやって僕を幸せな気持ちにさせてくれる」 そう呟いて俺の手を握り締めると、手の甲にキスをして頬を擦り寄せた。 その姿が綺麗で色っぽくて、俺の胸が軋むように痛む。 何でだろう? 幸せな筈なのに、何か不安のようなものが胸の中に広がる。 それはきっと、シルヴァが時折見せる今にも消えそうな笑顔のせいかもしれない。 「シルヴァ……お前、何か……」 そう言いかけた言葉を、再び腰を動かし始めたシルヴァに遮られる。 「あっ……!」 前立腺を切先でゴリゴリと刺激され思わず仰け反ると、俺の両手を握り締めて、シルヴァが激しく動き始めた。 スプリングの音がさっきとは変わり、ギシギシと激しく鳴り響く。 「あっ……あっ……シルヴァ……快ぃ……」 激しく浅く深く肉洞をシルヴァの怒張しきった楔が抽送を繰り返し、快い場所を的確に切先で擦り上げられる度に嬌声が上がる。 唇を重ね、シルヴァの腰の動きが一段と早くなって解放の時が迫っているのを感じた。 その時、シルヴァの背中に真っ赤な龍の形の赤煙が立ち上がって俺を見下ろしているのが見えた。 その刹那、シルヴァの欲望が腹の中に弾けて俺の身体がガクガクと震えたままイッてしまった。 ふわふわと浮遊感が漂い、身体の震えが止まらない。 「アァ!……ぁっ、ぁ……ぁ」 意識朦朧としている俺に、シルヴァの唇が重なる。 抱き締められた手の感触や、シルヴァのキスだけで快楽が止まらない。 痙攣が止まらない俺に、シルヴァが心配そうに見下ろした時だった。 『勇者よ、代われ!』 俺の中で声が響いた。 青い龍が朦朧とした意識の中で、俺の意識を取り込んでいく。 『随分と永いこと、この瞬間(とき)を待っていた』 低い俺の声では無い声に誘われ、深い深い海の底へと俺の意識が落ちて行く。 『……う、多朗』 ボコボコと水の底へ落ちて行く感覚の中、俺を呼ぶシルヴァの声が聞こえる。 深い意識下の中で、シルヴァの手が意識の中の俺の手を握り締めた。 驚いて目を開けると、深い深い海の底の様な場所にシルヴァまで一緒に居た。 『シルヴァ?なんで?』 『恐らく、僕達の器は今、火の神と水の神に占拠されているんだろうね』 冷静にそう話すシルヴァに 『だろうねって……、お前よく平気だな』 と、呆れた顔をしてしまうと 『僕はおばば様から、本当の片割れに出会ったらこうなると話は聞いていたからね』 と笑っている。 暗くて深い水の先に、うっすらと明るい場所が見えて覗いて見ると、本体の俺とシルヴァがバックでガッツリやってる映像が見えた。 俺の背中とシルヴァの背中には、それぞれ青と赤の竜の紋様がくっきりと浮かんでいる。

ともだちにシェアしよう!