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第8話

プラチナの長い髪の毛に赤い瞳。 透き通るような白い肌に、中性的な容姿。 神々しいまでの美しさに、アルトは息をするのも忘れて神官長を見つめていた。 上座の椅子の前に立つと、神官長はゆっくりとアルトを見つめ 「そなたが太陽の神子、アルトで間違いないな?」 その冷たさをも感じる程に美しい容姿から想像出来ない、優しい声音にアルトはピンっと背筋を伸ばした。 (あれ?小説にこんなキャラ登場したっけ?) 首を傾げてから 「初にお目に掛かります。アルト・フィルナートと申します」 と、アルトは貴族らしく挨拶をした。 すると神官長はフワリと微笑み 「堅苦しい挨拶は良い。アルト、我が名はルースだ。そなたは、太陽の神子であるのは間違いであったと申しておるのだな?」 威圧では無く、優しく問いかけるような声にアルトは小さく頷く。 「まぁ、突然に太陽の神子と言われても、戸惑う気持ちはよく分かる。しかし、私の目からもそなたは太陽の神子で間違い無いように見えるが?再度、泉に入らずとも、そなたを包む神気で分かるがな」 肘掛に肘を乗せ、頬杖を着く姿さえも美しい。 (わぁ!めちゃくちゃ美形。実は神官長、長老達の餌食だったりして……) そんな事を考えながら、まだ幼い神官長が数人の老人達に手篭めにされる光景を思わず想像した。 『止めて下さい』 全裸に剥かれ、石で出来た神への供物を置く場所で両手足を縛られている神官長様。 瞳は涙で濡れている。 『泣いても無駄だ、諦めなさい』 数人の長老達に、身体中を舐め回されて見悶える神官長。 (ヤバい!妄想が止まらない) アルトはそんな妄想をしながら、ふとフランシスの横顔に視線を送る。 そして、目の前に座る神官長の顔へ視線を移すと 『フランシス様……』 『ルース……』 真っ白な絹のシーツに包まれた、フカフカのベッドで抱き合う2人。 神官長のプラチナの髪の毛に、フランシスの長い指が絡み頭を持ち上げて唇を重ねる。 角度を変えなが唇を重ね、フランシスの背中に神官長の腕が回される。 絹の掛け布団の中で、もつれ合う2人の一糸纏わぬ身体。 『あっ……』 腰を打ち付けられ、甘い吐息が漏れると 『ルース、愛しているよ』 とフランシスが囁き腰を激しく動かす。 『あっ……あっ……快ぃ……。フランシス様……ぁ、もっと激しく……』 縋るように抱き着く神官長に、フランシスが更に深く強く腰を打ち付けると、綺麗なプラチナの髪の毛がランプ光で金色に輝いてフランシスの髪の毛と混じり合う。 (良い!この2人が乱れ合う寝室の壁になりたい!) そんなやましい妄想をしていたアルトに、神官長がピクリと眉をしかめた。 アルトはハッとして、慌てて神官長から視線を落とす。 (ヤバい、ヤバい!思わず妄想の世界に浸ってたよ) バレる筈は無いと思いながらも、自分の書いた小説では出て来なかった美しいキャラに、アルトの妄想は暴走しまくっていた。

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