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第14話 忘れていた前世の記憶

心配する両親を安心させ、アルトは部屋のベッドで寝転び考えていた。 神官長と誤ちを犯したら、神官長はアルトが持っている力を利用して修羅の道を歩いてしまう。 神官長の過去がどんなもので、何が彼をそうまでさせてしまうのか? しかも、男性に抱かれ慣れている感じだったという事は、もしかしてアルトの妄想は妄想てはなくて……。 そう考えるとゾッとする。 あの美しい容姿は、男しかいない教会では格好の餌食だ。 男に興味の無いアルトでさえ、迫られたら流されてしまう程に美しい神官長が、男しかいない……しかも閉鎖された世界に一人放り込まれたら……。 きっと、アルトの妄想以上の事をされていたのかもしれない。 そうアルトは考えて、溜め息を吐いた。 その時、ふとアルトは前世の記憶を思い出す。 『夢先生、ツキナナでBLゲーム作りませんか?』 あるゲーム会社からの依頼だった。 元々、イケメンがヒロインを取り合いながらも友情を育む話ではあったので、二次創作でBL本が出回っているのは知っていた。 『えー!美しい話は、美しいままで……』 『先生、知っていますか?二次創作の方が書いた話が大人気なんですよ』 そう言われて手渡された薄い本。 かなりの冊数が出ているらしく、12巻手渡された。 タイトルは『太陽の神子と7人の騎士』 月が太陽になっている?と思いながら、美麗なイラストで描かれた漫画を読み始めた。ストーリーは、死んだはずのアルトが実は生きていて、太陽の神子として教会に幽閉されていたのをアリアナが突き止め、処刑される前の最後の願いで『アルトを助けて!』と言い残す。 アリアナの最後の願いに疑問を持ったフランシスと月の巫女の騎士達が、真相を突き止めようと力戦奮闘するストーリーだった。 そんな中、目を引いたのは美しき神官長とアルトとの悲恋。 貧しい家に生まれた『ルース』 類稀なる美しい容姿に、親に男娼宿に売り飛ばされてしまう。 まだ幼いルースを稚児として働かせているという名目で、ルースは売られた直後から客を取らされていた。 自分の悲運を恨む中、客として秘密裏にやって来た当時の神官長に溺愛されてしまう。 教会の権力を借りたい館の主は、ルースを出家という名の捧げ物として、教会の神官長に文字通り売られてやって来た。 そこで出会ったのが、まだ幼いアルトだった。 太陽の神子として崇められ、特別な部屋で特別な扱いを受けるアルト。 一方、当時の神官長は裏で邪神の信仰をしており、ルースは邪神への供物として捧げられた。 松明が炊かれた中、悪魔の彫刻が掘られた御神体の前に置かれた石造りの供物台に全裸で寝かされ、甘い匂いのする木の板が御神体の前で炊かれている火の中に次々と放り込まれて行く。 両手両足を拘束され、怪しげな呪文と甘い香りに身体が熱くなって行く。 頭から白い目出し帽を被り、全裸の男達がルースの周りを囲む。 何が起こるのか分からない恐怖の中、蜂蜜のような琥珀色をした粘着質の液体がルースの身体に垂らされると、無数の手がルースの身体を這い回る。 「……!!」 液体が塗られる場所から、熱が灯るように身体が熱くなる。 口には猿轡をされている為、拒否の言葉が紡げない。 聞いた事の無い呪文が響く中、神官長がルースの下半身へと近付いた。 無数の手は、ルース自身と秘部には決して触れない。 ギリギリの所で避けられてしまい、もどかしさに腰が揺れる。 すると、神官長の元へ何やら煌びやかな箱を持って行く姿が見えた。

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