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第33話
唇を重ね、ゆっくりとメイソンの唇が頬から首筋へと下りて来る。
心臓の音が全身に鳴り響いているみたいになっていて、もうパニック状態になっていた。するとメイソンの唇が胸に吸い付き、ゆっくりとアルトの乳輪を舌先でなぞった。その瞬間、腰から駆け抜ける甘い痺れに
「あっ……」
と、アルトの唇から声が漏れた。
「アルト様。気持ち良かったら、我慢せずに声を出して下さいね」
頬を撫でられながら言われ、メイソンに言われてアルトは小さく頷く。
胸を吸われながら、先端を舌先で弾かれて
「あっ……あっ……」
漏れる声が恥ずかしくて、口元に右手の甲を当てて声を殺そうとすると、メイソンに右手を掴まれて手の甲にキスをされてしまう。
アルトがふと見上げると、アルトの手の甲にキスをしてアルトを見下ろすメイソンの色気に目眩を起こしそうになる。
(うわぁ~!!本当にこんなイケメンと……)
アルトは前世も今世も合わせて、初体験がメイソンというのは、実はとてもラッキーなのではないか?と思い始めていた。
この世界でも、イケメンというジャンルで考えたらトップクラスのメイソンと初体験!!
ありがたすぎて、思わず拝んでしまうアルトに
「アルト様?何をなさっていらっしゃるのですか?」
メイソンが驚いた顔でアルトを見下ろしている。
「あ、いや。メイソンに初体験の相手をしてもらえるなんて、ありがた過ぎて」
と答えたアルトに、メイソンは呆れた顔をすると
「何を言い出すのやら……」
そう呟いて、深い溜め息を吐いた。
王家の第一王子でさえ、アルトのハートを射止めたくて足繁く通う程の美貌を備えた自分を棚の上に置いて、この人は何を言っているんだとメイソンはつくづく思っていた。
吸い込まれそうな程、大きくて愛らしいエメラルドの瞳も、触れると吸い付くような白く透明な肌も、全てが男を魅了する容姿をしていながら、自分の魅力に1ミリも気付いていないアルトに苦笑いを浮かべた。
(きっと……ご自身の魅力に気付いていないから、こんなにも人を引き付けてしまうのだろう)
メイソンはそう考えながら
「随分と余裕ですね。そろそろ、他の事が考えられないようにしても良いですか?」
ニヤリと魔性の笑みを浮かべて囁いた。
アルトがメイソンの微笑みに赤面すると、メイソンの唇がアルトの唇を塞ぐ。
今までの優しいキスとは違い、荒々しく全てを奪うようなキスに最初は驚いて固まっていたアルトだが、メイソンの慣れたキスにいつしか蕩けきっていた。
(キスって……こんなに気持ち良いんだ……)
メイソンのなすがままになり、全身の力が抜けてしまう。
厚くて大きな舌に自分の舌を絡め取られ、上顎や舌をメイソンの舌が刺激する。
メイソンにしがみついていた腕がするりとベッドの上に落ちると、ゆっくりと唇が離れて胸に再びメイソンの唇が吸い付く。
反対側の胸にはメイソンの手が、指先で撫でるように触れては人差し指と親指で摘むように撫でては先端を人差し指で刺激する。
「あんっ…………あっ……あっ……」
アルトの唇から甘い声が漏れるのを確認すると、メイソンは反対側の胸にも吸い付き同様に刺激を与えた。
弛緩しきっていたアルトは身体を駆け巡る強烈な快楽に、無意識にメイソンの頭をかき抱いていた。
「あっ…………あっ…………メ……イ……ソン……っ」
甘い声で名前を呼ばれ、メイソンは一瞬で全身の血が沸騰したような感覚に襲われた。
(こんな時に、しかもあんな声で名前を呼ぶなんて…………)
メイソンは自分が翻弄しているつもりで、アルトに翻弄されている気分になってしまう。
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