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第37話

「メイソン…………どうしよう…………」 体位を変えようと動きを止めると、喘ぎ声を上げていたアルトがぽつりと呟き、メイソンはアルトを抱き締めて 「どうなさいました?お辛いですか?」 と気遣うように聞くと 「気持ち良すぎて…………おかしくなっちゃうよ。初めてなのに、変だよね?」 真っ赤な顔をしてそう言うと、ギュッとメイソンの身体にしがみつき 「好きな人の匂いとか…………温もりとか…………それだけでも幸せな気持ちになれるんだね」 アルトの言葉に、メイソンは全身の血が沸騰したように熱くなり 「あっ…………メ…………イ…………ソン?又、おっきくなったぁ…………」 身体にしがみつかれて耳元で言われ、メイソンは深い溜め息を吐いた。 「アルト様…………煽るなと、何度も言いましたよね?」 睨んで見下ろすと、アルトがプクっと頬をふくらませてメイソンを見上げ、目を見開いた。 「あぁ…………良かった。ちゃんと契約出来たんだ」 アルトはそう言って綺麗な笑みを浮かべると、メイソンの首に抱き着いて身体を前屈みにさせると、メイソンの左目にそっとキスを落とし 「瞳の中の契約の印が、金色に変わったよ。これで…………僕の、僕だけの#騎士__ナイト__#になったんだね」 と呟いた。 「知ってる?神子と騎士は、家族や恋人、夫婦より深い繋がりになるんだ。メイソン…………きみはもう、僕から逃げられないよ」 「望むところです」 アルトの言葉にメイソンがそう返すと、アルトは幸せそうに微笑み 「メイソン」 と名前を呼んだ。 「はい」 「多分、初めて会った時から好きだったみたいだ」 苦笑いしたアルトの言葉に、メイソンは小さく笑うと 「偶然ですね、私もですよ。アルト様」 と答えて額をアルトの額に当てて微笑んだ。 「メイソン。様も敬語も要らないから、恋人として素のメイソンで抱いてよ。セーブしてるよね?」 そう言われてしまい、メイソンは再び苦笑すると、アルトの手を取って指先にキスを落とした。 「アルト……好きだよ」 メイソンの低くて響く優しい声に、アルトは(あぁ…………本当に、この声好き!!)そう思ってメイソンを見上げると、メイソンの手がアルトの頬を優しく撫でる。 アルトはメイソンの大きな手が、優しく自分の頬を撫でてくれるのが堪らなく嬉しかった。 普段は冷たい、完全無欠なクールビューティーのメイソンが、今は優しく目を細めて愛情深い表情で自分を見下ろしてくれている。肌を合わせるというのは、ただ快楽を求めるだけでは無く、こうして相手の気持ちに触れる事が出来るのだと……アルトはそう感じていた。 ゆっくりとメイソンの顔が近付き唇を重ねると、メイソンの手がアルトの手に重なる。両手を重ね合わせると、指を絡めてキスをしたまま再び腰を動かし始めた。 「あっ………」 重なった唇からアルトの甘い声が漏れると、吐息も漏れる声さえも奪うように、メイソンは激しくキスをしながら抽挿を浅く深く繰り返した。 「んっ…………んぅっ…………」 アルトのくぐもった声が響く中、メイソンも又、かつて自分が『氷の男』と呼ばれていた頃を思い出していた。 誰を抱いても、こんなに求めた事は無かったと思い返す。

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