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狼が兎に恋する時⑭【狼視点】
「もう、出したい。いい?」
情けないことに早くも限界が近い俺は、もう出したくて仕方なかった。
だって、航 の中は気持ちよすぎるから。
「いいよ。寛太 、来て……」
でも……と航が俺をしっかりと見つめてくる。その瞳には、固い決意が感じられた。
「お願い、中には出さないで……」
男女関係なく妊娠可能な男のΩ。
大丈夫、わかってるよ。
俺はお前を大切にしたいから。
「わかった。中には出さない」
「ごめんね…」
謝らないでよ。お前は悪くなんかない。
航の首に腕を回せば、俺の体に必死にしがみついてくる。
可愛いね、航。
パチュンパチュンと腰の動きを再開すれば、簡単に快楽の津波にさらわれてしまった。
触れ合う素肌も、唇も……結ばれた熱くて蕩けそうな部分も。
「あぁんん…はァぁ…んあッ…!!」
声すら我慢できずに、ただ気持ち良さそうな航。
ただ、俺に揺さぶられ続けている。
腹に温かいものが飛び散る感覚に、航が絶頂を迎えたのを知る。ただ、もうそれは透明な液体が溢れ出た程度だった。
腰を動かす度に、航の秘部から愛液が溢れ出て来て……グチュクチャクチャと厭らしい音を響かせた。
更に腰の動きを速めれば、もう意識を飛ばしかけている。ただただ、気持ちよさそうで。
もっともっと奥深くんで繋がりたい……と、自分の腰を高く高く突き上げる。
「愛してる」
キスを繰り返して、俺は航の腹の上に射精する。
「あぁ……んあ!!」
そのあまりの快感に、俺は背中を仰け反らせた。
その熱い液が航の頬に飛び散り、航が無意識にそれをペロッと舐める。それを見た俺の下半身が、再び熱くなるのを感じた。
「エッロ……」
俺達の初めての行為は、本当に稚拙でいつか見たDVDの真似事だったけど、俺は幸せで泣きそうになった。
いつか俺は航の首に噛みついて番になりたいんだ。そしたら、運命の名の元にずっとずっと一緒にいられるから。
そんでさ、いつか俺達のアスベイビーに会ってみたい。
なぁ、航。
俺は、お前が大好きなんだ。
幼い俺達は、ずっとこの幸せが続くと思ってた。全く疑うこともせずに……。
でも俺達の幸せは長くは続かなかった。
Ωが手に入れられる幸せはあまりにも脆くて、儚いことを思い知らされる。
あの時、航の制止を振り切り強引に首に噛みついていたら……。
番になってしまったら……。
後悔してもしきれない、そんな出来事が俺達2人を襲うなんて。
今の俺達には全く想像つかなかった。
ただ、ようやく結ばれた心と体……。
その幸せに溺れきってしまっていた。
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