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儚き兎の夢②【兎視点】
最近になり、体を異変が襲うようになる。
突然始まる動悸に息苦しさ。何が迫ってくる恐怖に必死に抵抗するように、深呼吸をして息を整えた。
でも駄目だ……今日は異変の波が引いてくれない。津波になって襲いかかってくる恐怖に、頭が支配されていってしまう。
以前の発情 のことを思い出すだけで、体が震える。
情発 を抑えてくれる薬だって、効果は100%じゃないって医師が言っていた。もう抑えきれないのかもしれない。
甘く漂い始めるΩ特有のフェロモンに、寛太 がいち早く反応する。
「お前……めちゃくちゃエッロい顔してるよ?」
「だ、だって……」
「ヤバい……俺までラットしそう」
寛太が顔を赤らめながら、俺の顔を覗き込んできた。
「航 、薬は?」
背中を優しくさすってくれた。
俺は、慌てて頓服薬をリュックから取り出して、寛太が渡してくれた水で喉の奥に流し込む。
体が凄く熱くなってきて、目の前に火花が散った。
全身が生クリームみたいにどんどん甘く蕩けて、理性までもが無くなって行く。
触られてもいない胸の突起がピンと尖って、寛太を受け入れる場所からは、トロトロと生暖かい愛液が溢れ出した。
「寛太……ねぇ、寛太。お願い……抱いて……」
「ん?したくなっちゃった?」
「うん。もう、もう……我慢できない……」
なんとか熱を冷ましたくて、寛太に抱いて欲しいと初めてねだった。
恥ずかしくて顔を上げることさえできない。
そんな俺を愛しそうに見つめて、寛太フワッて笑った。
「可愛いな」
って。そのまま、ベッドにそっと押し倒された。
体が熱くて熱くて、自分から抱きついて寛太の唇を奪ってしまう。
唇を合わせただけで、すぐに熱が籠ってしまいキスに夢中になってしまった。
だいたい今何時だよ?
時計を見れば朝の9時……。
真っ昼間から何やってんだ……なんて常識なんてぶっ飛ばしてお互いの体を貪り合った。多分、今日は2人とも大学なんてサボりだろう。
初め、て俺が発情 したときにしたセックス。
その激しすぎる欲情に、俺は自分自身を見失って行った。
Ωである自分に主導権を渡してしまえば、快楽の海に溺れてしまうことなんて意図も簡単だった。
「あ……はぁぁん……んんっ、あぁぁん」
甘ったるい俺の声だけが、静かな部屋に響き渡った。
「もっと、もっと奥に来て……奥が好きだから……」
「わかった、もっと奥な?」
寛太が俺の腰を押さえつけて、パチュンパチュンと腰を打ち付けてる度に、グッグッとお腹の奥深くを犯されて行く。
「あ、あん!そこ、そこが気持ちいぃ……あ、あッ!」
その気持ち良さに、俺はもう現実に戻ってくることなんてできない。
グチュグチュと寛太の昂りが抜き刺しされる度に、俺の秘部から溢れ出した愛液が卑猥な水音をたてた。
寛太の腰に足を絡めて、更に奥へ奥へと寛太を誘い込む。
もう馬鹿になりきった俺の頭は、気持ち良さしか感じることができなくて……グッと奥深くに寛太が入って来る度に、ピクピクと甘イキを繰り返した。
「航、イキッぱなしじゃん?ずっと航の中が痙攣してる」
「ん、ん、あぁッ!だって、だって気持ちいい…」
「俺もめちゃくちゃ気持ちいいよ……航。大好きだ」
深く繋がりながら、激しいキスを交わす。
お互いの唾液が混ざり合い、俺はそれをコクンと飲み込んだ。
俺の体の中は寛太でいっぱいで、離れたくないと言わんばかりにその昂りをキュッと締め付けた。
寛太も俺のフェロモンに当てられてか、発情 しているのが見て取れる。
それが、更に俺の興奮を高めていく。
「イクッ!かんたぁ……イッっちゃう……!」
「いいよ、一緒にいこう。航……航……!」
「あ、あ、あぁぁぁ!!」
深い口付けを交わしながら、ドクンドクンという拍動と共に、2人で絶頂を迎える。そのあまりの激しさに、俺の頭が一瞬真っ白になった。
なかなか絶頂から戻ってこれない俺は、ヒクンヒクンと秘部を痙攣させる。
「んあッ!」
その刺激に、寛太が小さな悲鳴を上げた。
この日、俺は発情した時のセックスを初めて知ることとなる。
優秀な寛太の理性が最後の最後で歯止めをきかせて、首に噛み付くことと、中出しだけは避けられたが……。
このままじゃ、大学を卒業する前に妊娠してしまうのでは……という、一抹の不安が頭を過った。
「なぁ、航。まだ全然足りない」
甘えるように、俺の体を求める寛太が可愛くて仕方ない。
「もう一回……お願い……」
こんなに必死におねだりされたら、断れるはずなんかない。
だって仕方ない。俺は、寛太が大好きだから。
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