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狼の静かなる葛藤④【狼視点】

 丁寧に慎重に、でも航の気持ちいいポイントをしっかり愛撫してやれば、 「はぁん…ん、あっ…気持ち…いい」  シーツを強く掴んで身悶える。  久しぶりに見るこの光景に、 「エッロいなぁ……」  つい見とれてしまった。  大分解れてきたから、チュプっとゆっくり自身を挿入してみる。 「くッ!」  航の温かさと、ローションのヌルヌルした感触に身震いをする。  めちゃくちゃ気持ちいい。  深く突いてしまわないように、できるだけ浅い部分をゆっくりと擦り上げた。その度に、航がピンピクンと反応する。  十分に張り詰めて、熱く昂ぶる航自身にもローションをかけて、クチュクチュと手で扱いてやる。  前後からの刺激に、溜まらず涙を浮かべた。 「いやぁ……ん、ん……あ、気持ちいいよぉ……!!」  そんな航に満足感を覚える。 「俺も気持ちいい」  予想以上に甘い声が出てしまった。  腹の負担にならないよう、気を付けながら腰を動かす割には意外と早く絶頂を迎えてしまいそうで、航自身に愛撫を加える手の速度を速める。 「ひっ……あぁ……寛太、イク……いっちゃう……!」 「出せよ……」 「あぁぁッ!」  小さく悲鳴を上げる航とほぼ同じタイミングで、俺もゴムの中に射精した。  ゴム一枚隔てて感じる航の絶頂。中は激しくうねり、俺をギュッと締め付けた。その感覚に、俺は陶酔してしまう。  荒い息をしながら、自分の秘部を無意識に弄る航が、めちゃくちゃ色っぽかった。 「腹、大丈夫か?」  やっぱり心配になって顔を覗き込めば、 「大丈夫だよ」  って笑った。  その笑顔が可愛くて、俺は航に優しく口付ける。 「寛太(かんた)……」 「ん?」 「大好きだよ」  久しぶりに聞いた甘い囁きに、目眩すらした。  ありがとう、航……。  その後も、俺と豆太郎との静かなる戦いは続くこととなる。  たまに甘えたくて航に絡みつけば、 「子供が二人になっちゃうね」  って困ったように笑われるけど、いつもみたいに優しく甘やかしてもくれた。  それが嬉しくて嬉しくて仕方ない。  やっぱり、俺は航が大好きなんだな、って思う。 けど、定期検診にはどんなに忙しくても、鼻唄を口ずさみながらついていくあたり、俺も親馬鹿だなって思う。  この前は、ベビーカーを衝動買いして、 「いくらなんでも早過ぎだから!?」  って怒られた。  でも懲りずに、今はベビーベッドをネットで検索している。  豆太郎は、俺の可愛い可愛い子供でありながら、ママを取り合う良きライバルへとも姿を変えた。  だから、早く出てきてくれよ。それで、正々堂々と勝負しようぜ?  俺は、お前に会いたくて仕方がねぇんだ!!

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