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第156話

 アサ、と耳元で囁かれ、固く閉じていた目をうっすらと開いた。 「全部入ったよ」  一生は旭葵の涙で滲んだ目元にくちづけた。 「ごめん、痛いよな」  そう言って旭葵の唇をついばむと、目元の優しいキスからうって変わって体液が混ざり合うような濃厚なキスに豹変させる。  その間も、旭葵は押し広げられた蕾に伝わる一生の塊から意識を離すことができない。これ以上少しでも動かれたら、裂けてしまうのではないかと本気で思った。  それでも一生の時間をかけた濃密なキスに、頭の後ろがぼんやりと痺れるように白く霞んでくる。 「アサ、ちょっと我慢して」  唇と離すと一生はゆっくりと腰を動かし始めた。キスで緩みかけていた身体が再び緊張する。  一生が動く度に内臓が掻き回されるようで、息が止まって声も出ない。漏れるのは声にならない破裂音ばかりだ。  歯を食いしばって顔を横に倒すと涙が伝った。一生は旭葵の頬を包むと正面を向かせ、優しく溢れる涙を啜った。 「アサ……」  一生の潤んだ瞳がすぐ目の前にあった。 「アサ……」  一生が旭葵を揺らす。  アサ、アサ、アサ。  一生は旭葵の名前を呼びながら回すように腰を振る。終わりなく打ち寄せる波のように旭葵は一生に身体をゆすられ続けた。  最初にあった鋭い痛みは消え、摩擦で生じた熱が感覚を次第に麻痺させていく。  それでもまだ快感と呼ぶにはほど遠く、けれど不快感と呼ぶまでもない感覚に旭葵はただ身を委ねた。  窓の外からボンッと花火の音が聞こえた。  リズミカルに揺れていた一生が大きく腰を引き、勢いよく奥まで攻め込んできた。旭葵は思わず小さく悲鳴を上げた。 「アサ、ごめん、でも止まらない、ごめん」  一生はそう言って、同じ動きを繰り返した。その度に旭葵は鳴き声をあげる。  一生はその声に躊躇いながらも、同時に欲望が刺激されているようだった。勢いを緩めることなくさらに速度と強度を増して旭葵を揺さぶり続けた。  逃げないよう旭葵の腰を掴み、角度を変えてなおも激しく突き立ててくる。 「いっ、いっせ、もう、やめ」  旭葵は懇願を口にしようとするが、奥を突かれて言葉が途切れる。  旭葵の中を犯し続けていたものが急に全部引き抜かれ、突然の終わりを迎えたかと思いきや、一気に入り口を突破し奥まで侵略してくる。  そしてまた全部引き抜かれ、同じように突き刺す。  そうやって旭葵の蕾を破瓜する瞬間を何度も味わう。一生のその行為は、まるで旭葵は自分のものだと言っているかのようだった。  切り開かれ、擦られ、奥を突き立てられ、何がなんだか訳の分からない感覚に旭葵は意識が飛びそうになる。  が、それさえもさせまいと、さらに一生の昂りは体積を増し、旭葵にその熱さと固さを伝えてくる。

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