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真尾次長
「おつかれさまです。周防師長」
夕方の申し送りが終わったころ、次長に昇進した真尾が少年棟に顔を出した。
「へ?あー、次長!おつかれさまです。てか、なんやねん来るなら来る言うてくださいよ。なんももてなしの準備もしてないで?」
「もてなし…ってそんなのはいらないですよ。突然でごめんなさい。紫苑くん、何号室にいるかな?入院したって聞いたから顔を見に来たんです」
「あれ?知り合いなんや?」
「うん。瀬谷先生の子だからね。祖父江先生と一緒に遊んだりしてるよ」
「へぇ家族ぐるみなんや?」
「あ、あの…雅宗?まだあんまり公にしていないので祖父江先生と僕のことはオフレコですよ?」
「へ?なんで?そういや名字変わったのになんで真尾のまんまなん?堂々と祖父江宵って名乗ったらええやん?」
「いろいろあるんです」
「ふーん。俺なら嬉しくてそこらじゅうに言いふらしそうやけどな…って、あ…紫苑くんやったですね?7号室にいてます」
「そっか、ありがとう。ところで師長業務慣れました?」
「う…まだまだっすわ…またプライベートで愚痴、聞いたってください」
「いいですよ、いつでも。じゃ、ちょっと顔を見てきますね」
「行ってらっしゃい」
真尾は7号室へと向かい、扉を叩き
コンコンコンー
「紫苑くん?こんにちは」
中に入ると目を覚ました紫苑がオーバーテーブルに向かって勉強をしていた
「偉いですね?お勉強ですか?」
「うん。あ!宵くんっ来てくれたの?」
「うん。紫苑くんが入院したって聞いたからね。心配で来ちゃった」
「ありがとう」
「思ってたより元気そうでよかった。ちょっと安心です。治療、つらいこともあるだろうけど頑張りましょうね?」
「うん。また来てくれる?」
「いいですよ。今度は実継さんも連れてきますね」
「実くんも来てくれるの?嬉しいなっ」
「ちなみに紫苑くんの担当、佐久間由宇くんですよね?」
「うん、由宇先生。ちょっと怖いけど優しいよ」
「怖いの?」
「ちょこっとね」
「ふふ。立派にお医者さんしてるんですね?彼。紫苑くん、また来ますね」
真尾は紫苑の頭を撫で、7号室から自室へと向かった
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