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豪邸

少しうとうとしていると車が停まり、降りた先の光景を見てルカは開いた口を閉じられずにいた。 「え…ここ!?」 王宮かよ…ってくらいデカい。 「我が家だよ。今日からルカの家。おいで」 「う…うん」 案内されて中へと入ると黒いふわふわしたスカートの可愛らしいメイドさんと執事が数名出迎えてくれた 「おかえりなさいませ、八雲さま、ルカさま」 「ん」 慣れているのか八雲は素通りし奥へと進んでいった。 対してルカは想像をはるかに越える事態に状況を飲み込むのに時間を要し、足を止めた。 「え…えと?」 「どうした?」 ついてこないルカに八雲は振り返り 「何か考えごと?」 「うん。いや…世の中不公平だなぁって。八雲さま、金持ちだったんですね?」 「俺は金持ちじゃないよ。金持ちなのは俺の親」 「でもすごい。てかなんで調教師になったんですか?」 「趣味と暇つぶし」 真顔で言う八雲がなんだか恐ろしくルカは一歩後退った。 「後悔した?」 「ち…違うけど住む世界が違うって言うかなんか…」 「後戻りはもうできない。さあ行くよ」 八雲は少し歩き扉を開いた。 眩しい光が差し込み、ルカはその眩しさに目を細めた。

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