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第7話

 173㎝の朝霧より、夏川は15㎝は身長が高く、目鼻立ちがはっきりとしたほりの深い顔立ちだった。  最初あった時、ハーフかと思ったもんな。  夏川をみた朝霧の最初の感想は『自分の理想が服を着てい歩いている』だった。  そんな思いは夏川が年下の可愛い系とキスをしているところを見て、一瞬でなかったことにしようと努めたが。  それが今じゃこんな関係だもんな。  信じられない。  スーツのズボンからくっきり浮き上がった雄を布越しに扱かれ、必死で声を殺そうとする朝霧の耳元で夏川が囁く。 「キスしたい」 驚いて朝霧が夏川を見ると、彼はずいぶん幼く見える笑顔を浮かべていた。  タクシーが止まり、腰が抜けた朝霧を抱えるように夏川が歩き始める。  高級マンションのエントランスをくぐり、エレベーターの前で座り込みそうになった朝霧を、夏川が支える。 「ほら、しっかり立って」  エレベーターに乗ると、夏川がカードをかざす。  それだけで勝手にエレベーターが最上階まで運んでくれる。  都内の新築マンションの最上階の家賃は一体いくらなのか。  朝霧は想像すらつかなかった。  朝霧の腰を抱いていた夏川の手が下に滑り、彼の痩せた尻を鷲掴みにした。 「まず玄関でお前を抱くよ」  朝霧の喉が期待でくぅと鳴る。  年下の男に良いようにされる屈辱が、頭の隅へと追いやられ、快楽にすり替えられる。  エレベーターが止まり、目の前の扉に夏川がカードを押しあてる。  このフロアには夏川しか住んでいない。  中に入ったと思ったら、朝霧は扉に押し付けられていた。  噛みつくようにキスされて、朝霧は長めのウエーブのかかった夏川の黒髪を抱え込んだ。  夏川が逞しく育った雄を細い腰に押しあてると、朝霧が呻いた。 「待って、待って」  朝霧は一旦体を離すと、てきぱきと自分の服を脱ぎ、靴下だけになった。  朝霧は夏川と違って、高価なスーツを何着も持っているわけではない。  今着ている物を汚すわけにはいかなかった。

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