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第9話

「あっ、ねえ、ちんちん触って」  朝霧の願いを無視して、夏川が小刻みに腰を動かす。 「帝は触らなくてもイケるだろ? 代わりにこっち触ってあげる」  夏川はコリコリに熟れて真っ赤になっている、朝霧の乳首を摘まみ、強く捩じった。 「やあっ」  朝霧が首を振る。 「やなの? じゃあ、やめるね」  夏川がすっと胸から手を離す。  途端に物足りなさから、朝霧が涙目になった。 「いやっ、嫌じゃない。もっとして、もっと」  朝霧の舌ったらずな願いを叶えるため、夏川は乳首に爪をたてた。 「いっ、痛っ。ああんっ」  朝霧がのけ反り、目の前の壁にべったりと大量の白濁を放った。 「くっ」  きつい締めつけに、夏川も我慢できず、朝霧の中に熱を撒いた。  荒い息をついている朝霧の肩を夏川がひく。  朝霧の白くて、細い体を夏川は正面から骨がきしむくらい抱きしめると、口づけた。  互いの舌を噛み合い、唾液を啜る。 「拭かないと」  顔を真っ赤にして、朝霧は自分の放ったモノを見た。 「いいよ、そんなこと。それより、帝。今日はどんな風にして欲しい? 」  にやりと笑った夏川の言葉に朝霧の蕾がきゅんとしまり、そこから白濁がどろりとこぼれ落ちた。 「俺のこと奪って、めちゃくちゃにして欲しい」 「了解」  夏川が楽し気に頷く。  普段プライドの高い朝霧は年下の男にこんなことを懇願するタイプではない。  ずっと誰かに虐げられたい。それでいて愛されたい。  相反する叶いっこない願いを朝霧はずっと心に沈めてきた。  夏川はそんな朝霧の願いを聞いても、決して笑ったりしない。  むしろそれを叶えるのが至上の喜びであるかのように、夏川は朝霧を抱く。  ただしそんな関係はこの部屋の中でのみだった。  一歩外に出れば、友人どころか犬猿の仲だ。

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