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第11話

 眠りの浅い朝霧が今のところ唯一、熟睡できる場所で目を覚ました。  体をゆっくりと起こすと、全身のあらゆる箇所にあらゆる痛みを覚え、朝霧は顔を顰める。  ふいに意識が途切れる前のことを思い出し、朝霧はキングサイズのベッドの上から、フローリングの床を見た。  そこはいつも通り綺麗で、何の匂いもしなかった。  ほっと朝霧は胸を撫でおろした。  玄関でした後、ぶっ続けで体を重ねていた明け方、朝霧は夏川に『中にちょうだい』とねだったが、もう10回も中だししていた夏川に『無理だ』と断られた。 「じゃあ、おしっこ中にちょうだい」 「いいよ。その代わり、帝もだして」  朝霧は夏川に体内に放尿されながら、自分はフローリングの床に尿を放った。 その後、何故か興奮し、復活した夏川にもう一度抱かれ、そのまま気絶するように朝霧は眠りについたのだ。 「迷惑にもほどがあるだろ、俺」  たぶん夏川は朝霧が気絶した後に、床を綺麗に掃除し、ぐしょぐしょになったシーツを替え、朝霧の体も綺麗に清め、パジャマを着せてくれた上で、きっと玄関の掃除も1人で行ったのだろう。  いつものこととはいえ、申し訳なさに、朝霧はしばし頭を抱えた。  枕元のデジタル時計をみると、14時を少し過ぎていた。 「はあ、とりあえず風呂はいろ」  一応は拭いてくれたみたいだが、朝霧の髪にはまだ夏川の放ったモノが乾いてこびりついていた。  寝室の扉を開けると、夏川が立っていた。  朝霧と目を合わせ、微笑む。 「そろそろ起こそうと思っていたんだ。腹、減ったろ? 」 「ん」  何度迎えても、情事の後に顔を合わせるのは居たたまれないと、朝霧は俯いた。 「風呂入って来る」 「ああ、その前にこれ飲んでおけよ」  スポーツドリンクを手渡される。 「昨日色々だしたからな。脱水おこしたら、まずい」  にやりとしている夏川を憮然とした表情で見つめながら、朝霧は頷くと、風呂場に向かった。

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