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第19話

 朝霧の答えを聞いた瞬間、夏川の瞳がギラリと輝いた。 「イイね。俺、そういうの好きだよ」  拒否されなかったことに安堵を覚えながら、朝霧は夏川に抱きついた。  正常位で一度交わり、二度目のバックの時、ゴムはつけないで中にだして欲しいと朝霧は夏川に頼んだ。 「病気とか怖くないの? 」  夏川の問いに、朝霧は首を振った。 「いいから。早くっ」  夏川は舌打ちすると、コンドームを外し、後ろから一気に朝霧を貫いた。 「あっ、ああ、んー」 「ほら、生だよ。嬉しい? 」 「あー」  酔いと快楽で頭が飛んでいた朝霧はまともに返事もできなかった。  夏川が平手で、朝霧の尻を打つ。 「あんっ」 「ちゃんと答えて」 「きっ、気持ちイイ。もっと、叩いて」  夏川は舌打ちすると、何度か朝霧の尻を叩いた。  五回目に叩かれた時、朝霧は白濁を飛ばし、中の夏川を締めつけた。 「叩かれて、イッちゃったの? 」  朝霧のくたりとしてヌルついた屹立を、夏川が撫でる。 「だって……すごく、気持ち良かったからぁ」  ふいに夏川が朝霧の首筋に噛みついた。 「あっ」 「この淫乱」  夏川は激しく腰を打ちつけながら、朝霧の両手首を掴んだ。  朝霧の上半身が浮き上がる。 「ほら、どこに欲しいんだよ」 「中、中にくださいっ」  朝霧が叫ぶと同時に中が熱く満たされる。 「あっ、でてる…熱いの…たくさん」  朝霧は意識を失いそうになりながら、にっこりと微笑んだ。  夏川は自身を引き抜き、朝霧を仰向けにすると、その体の上に乗った。  全身、汗と白濁に塗れ、呆然としている朝霧の顔中に口づける。  朝霧が身じろぐと、後孔が開き、そこから白濁が漏れた。 「はあ、なんて言うか色々予想外だったわ」  夏川の呟きの意味を、トンでいる朝霧は正確に理解せずに微笑んだ。  ふいに朝霧は夏川の両手を取ると、自分の首に導いた。 「何? 」 「ころ……て」 「えっ? 」  呟きが聞こえず、夏川は朝霧の口元に耳を寄せた。 「殺して。今、死にたい」  朝霧の本心だった。  ネコとしてこんな素晴らしい体験は二度とできないだろう。  これ以上老いて、抱いて欲しいと言う若い子からも求められなくなる前に、最高の気分のまま、死にたかった。  一方、その言葉を聞いた夏川は般若のような表情を浮かべると、朝霧の顔のすぐ傍の枕を殴った。 「そんなこと、これからも永遠に、誰にも言うなっ」  夏川はベッドを降りると、浴室に向かっていった。  朝霧は薄汚れた天井を見つめながら、やってしまったと一筋涙を零した。

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