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想いの変化17
「こんばんは。来ちゃいました……」
聖哉はどこか恥ずかしそうに躰を小さくしながら、俺の顔を一瞬だけ見、首を深くもたげてピアノのあるところに向かう。
(午後からコンテストのハードな練習をしたっていうのに、義務でここに来たんじゃないだろうな?)
そのことが気になったので、カウンターから出て聖哉の傍に駆け寄った。
「聖哉、無理して店に来たんじゃないだろうな? 練習で疲れていないのか?」
矢継ぎ早に質問した俺に、聖哉は真顔のまま、無言で首を横に振った。
「マスターってば、本当に過保護なんだから。とっととあっちに行って」
すかさず絵里さんが傍に駆け寄って、呆れた声で間に割って入り、俺の背中をカウンターに向けてすごい力で押し出す。前のめりにながらカウンターの中に入った俺の耳に、ふたりの会話が仲良さそうに届く。
「聖哉くん、来てくれて嬉しい。いつものピアノの音がないと、お店に味気がなかったんだよね」
「そうですか、来てよかった……」
「ねぇリクエストしてもいい?」
絵里さんにカウンターの中に押し出された俺は、なんとなくふたりの会話に入ることができず、指をくわえてその場から眺めるしかなかった。
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