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1-2 それは突然に…

*** 一日の仕事を終え、大輔が、入り口のドアに鍵を閉めていた。  ガタン!ガガガ!ガタン!ガタン! 「ちょ……この音!」 ガクは、耳を押さえながら大輔の方を見た。 「お前さ、聞こえないの?この音。」 「音?」 大輔は、辺りを見回しながら音を探ったが、彼には聞こえていない様子だった。 急いで大輔から鍵を奪いドアを開け、音の元である在庫室に向かった。 段ボールを払いのけ、開かずのトビラが、再び前に姿を見せた。 「ここから、音が聞こえるんだ。」 段ボールとどけた瞬間、耳を塞ぎたくなるような音はやんだ。 ゆっくりと耳から手を離し、小さく深呼吸をした後、ドアノブに手を伸ばし、そっとそれをひねった。 まばゆい光が倉庫を取り囲み、ガクは、後ろに転がった。 天にまで届きそうな光は、しばらく続き、その間目も開ける事が出来なかった。 ようやく、光が収まりゆっくりと片目を開け周りの様子を伺った。 トビラの中の光は消え、いつもと変わらない在庫室になっていた。 「何が、起きたんだ?」 ビュッ 「うぉ!!」 目の前に大きなタカが、姿を現した。 「何だ!!?ば、化け物?」 ピーッ! 笛の音と同時に、在庫室で飛び回っていたタカは、おとなしくなった。 『その鷹の名前はボルネだ。』 いつの間にか、ガクの後ろに立っている男をみながら、ゆっくり立ち上がった。 立ちあがったガクと目が合った瞬間、男は目を大きく見開き、大きくジャンプをした。 ガクは、うまく状況が把握できず、高く舞い上がった男の行方を捜した。 「えっと…あんた、何者?」 ようやく、暗がりにぼんやりと見える黒い塊に向かって問いかけてみた。 格好をよく見れば、テンガロンハットをかぶり、黒い大きなローブを身にまとっている。 『久しぶりの異空の世界だな。』  異空の世界? 先程から何を言っているのだろうこの人は。 バサッと布が広がる音が聞こえると、天井から先程の男が降りてきた。 男は、ガクをチラッと見た。 『ところで…今は何年だ。』 天井から下りてきた男は、質問をした。 ガクはジッと男を見上げた。 背はわりと高く、目鼻立ちはしっかりしていて、その瞳は綺麗なエメラルド色をしている。 だが右目は色素の薄い茶色。 「オッドアイ。」そう呟きながら、珍しい瞳の色に見とれていると、男は、テンガロンハットを取り、頭をポリポリかき、再びそれを被った。 一瞬見えた髪の毛は、ボサボサで、微妙な長さだった。 更に良くみれば、背中に大きな剣を差している。 彼は、ガクの視線が、大剣に向けられていると分かると、それを抜いて、彼の前に差し出した。 『気になるか?』 男は、剣先を上げ、ゆっくりとそれを、ガクに向けた。いかにも重たそうな大剣は、ガクの顔が、その剣に映るくらい、ピカピカに手入れをされている。そして、光の加減で大剣は青く光るのだった。 男は、ガクから目を離さずに話しを続けた。 『ブルーソード。見ても聞いても分かる通り、青い大剣だ。他の、どの剣よりも強くしなやかで、とても扱いが難しいとされている。我が家の家宝だ。』 ガクは、剣を向けられているにもかかわらず、堂々としていた。その姿を見て、男は、剣先をあげ、その先を眺めた。 『あなたは、俺の質問に答えてはくれないのか?』 ん? ガクは眉間にしわを寄せて首を傾げ、はたと我に返り慌てながら「あ、え、えっと、今は2017年の冬です。あ、ちなみにここは日本、です。」 男は眉を上げた。そして、剣を背中の鞘に収めると、ため息をついた。 『2017……70年……そんなに経つのか……。』 「へぇ、70年ね…え、は!?70年?」 ガクを見下ろした男は、ローブをひらりとさせながら、彼から離れ、辺りを物色し始めた。
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