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ハジマリ②

三年間の間に彼女も出来たし、初体験も済ませた。 楽しい高校生活に、すっかり大人しくなった弟のことなど忘れていたのだ。 そんな僕に、神様は罰を与えたようである。  数年後、今度は騙すようにして弟と同じ大学に進学させられ、挙げ句の果てには、弟と二人暮らしをすることになったのだ。 僕が高校を優先させ、あまり家に居なかったことを良いことに、弟は両親や親戚を味方につけていた。 気付けば僕は、家族の中で孤立していた。 そんな状況の中で、弟を無下に出来なくなってしまい、僕と弟は、大学が始まる少し前、三月の中旬にはアパートに引っ越した。  二人住まい用だろう、そのアパートは、玄関を入ってすぐの左側に和室、右側にお風呂と洗面台、廊下を進んでお風呂と同じ側にトイレがあり、その先にキッチンとダイニング。 キッチンと廊下は扉で区切られるようになっている。 ダイニングの奥にはベランダがあり、左側には洋室があった。 二人暮らしにしても十分な広さだろう。  身の危険を感じつつも、流石に危害は加えてこないだろうと、僕はまたしても油断していた。 否、何もないと信じたかったのだ。 しかしながら、その願いは儚くも崩された。  荷物の整理を終えて、洋室は弟が、和室を僕が使い、後は共有スペースと二人で話し合って決めた。 プライバシーは守るように、と釘もさした。 これで大丈夫だろう、と自分の部屋に向かおうとしたところを、弟の体に抱き止められて阻止されてしまう。 そうして、首許にひんやりと冷たい感触を感じたかと思えば、既に拘束されていた。 かちゃり、と首から鍵の掛かる音が聞こえてくる。 まさか、と信じられない思いで目線を下に降ろした。 目に入ったのは、犬が着ける首輪を嵌めて、しっかりと鍵で留められている己の姿だった。 弟の体を離そうと胸を押したが、びくともしなかった。 暫く会わない内に、胸板は厚くなり、筋肉が綺麗についているようだった。 着痩せするのか、体を密着させて初めて気が付いた。 「何の冗談だよ?」 意識して声を低くして問い掛けても、返ってくるのは気持ちの悪い笑い声だけだった。 「おい、外せよ、コレ!」 「何で? お兄ちゃんに似合うやつ、わざわざ探して来てあげたんだよお? あ、コレもつけなきゃね。きっと可愛いよ、お兄ちゃん」 やっと返ってきた返答は、僕を地獄に突き落とした。
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