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奴隷と水浴び㉑

「母との約束を破れない。確かにスノーレェィンの皆のことは好きだし家族だと思っているけど。それだけなら、こんなにも縛られたりはしないよ。シヴァ様が考える以上に僕に掛けられた呪いは強い。母の力でもどうにも出来なかった。僕は死ぬまでこの街で生きていくしかないんだ」 水に晒されている身体は冷たい筈なのに、シヴァに触れている部分から熱が巡る。 淡々と告げた事実に、メシアは薄っすらと笑う。 街の中では、メシアに呪いを掛けたのはアツコだと言われているが、実際には違うのだ。 メシアを呪ったのは母ではなく、アツコが呪いを解くために尽力してくれた、とスズコから聞いている。 母から何かしらの事情を聞いているらしいスズコが教えてくれたのは、それだけだった。 だが、その事実だけがあればメシアは十分なのだ。 例え、愛されていなくとも満足出来た。 「……お前を呪った張本人だろ? 約束を守る意味が何処にある?」 街の噂を信じている青年に柔く首を振る。 目尻から頬を辿り、シヴァの指がメシアの口唇を撫でていく。 無意識に其れに舌を伸ばし、ちろり、と舐めていた。 涙は止まったが、体中に熱が籠もったかのように熱くて堪らない。 はふ、と息を吐き出し指先を咥え込んでいた。 「僕の体には、龍の影のような模様が浮かんでいた。その呪いは魔女には扱えない種類のものだから。母が本当に魔女なのか、僕には解らないけれど。例え魔女だったとして、母に僕を呪うのは無理ってこと」 くちゅり、と舌を絡ませ吸い上げてから解放し、何事もなかった体(てい)で話を続けるメシアの内心は戸惑いで一杯だ。 「龍影の模様? 王宮の資料室で読んだことがある。それは……竜人族が扱う呪いだ。彼等の使う呪術の幾つかに見られる特徴だったと記憶しているが」 青年の濡れた指が水中に潜り込み、悪戯にメシアの胸を擽る。 つん、と水の冷たさに尖った突起に触れられ息を呑む少年の耳元で重々しく囁くシヴァの表情が渋っていく。 「龍影の模様が浮かぶ呪いは、数ある呪術の中でも短期間で死に至る強力な呪いに現れるもの、と記載されていた。お前は生きているじゃないか。模様も消えている。呪いは解かれたんじゃねぇのか?」 青年の指先が尖りを引っ掻くのに合わせてメシアの体躯はビクつき「ひぅ」と甘ったるい声が漏れ出る。 鼓動が、どくんどくん、と脈打ち変に落ち着かない。 抵抗らしい抵抗もせずシヴァの腕を強く掴んだ。 「竜人、族? 初めて聞いた」 「龍と人間が混じった種族で謎が多い。傭兵として戦争に加担する傍らで呪術を商いとして行っているらしいな」
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