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第3話

駅に着くと西村さんがいて、俺に向かって手をブンブンと振ってくれる。久しぶりで嬉しくて、俺も手を振り返した。 「西村さーん!」 「梓!あんた相変わらずお洒落だなあ!」 「本当?嬉しいな!ていうか会えたことが嬉しいよ!今何してるの?」 「今はちゃんと就職して働いてまーす。上司が良い人でね、こんな私でもやっていけてる。」 うんうんと、頷いていると肩をとんとんと軽く叩かれる。 「今日は護衛でも付いてるの?あんたを1人になんてあの人がする訳ないんじゃない?」 「あー······そうなんだ。ごめんね、もしかしたら気になるかも」 「いやいや、私が本職の人の隠れ具合を見つけられるわけなくない?ていうかどこ行く?私ね、ずっと行きたかったカフェがあって······」 「いいよ!じゃあそこ行こう」 「あと······私もあんたみたいな服が欲しいから、服、見に行きたいの。付き合って?」 「勿論!」 今日は久々のお出かけだから、存分に楽しみたい。 まずは服を見に行くことになって、それからカフェに行くことに。 「なんかさ、春になってきたなぁとは思うけど、寒い日は凄く寒いし、温かい日もあるしで寒暖差が凄いよね。それに花粉!あれは私の敵!」 「花粉症なんだ?」 「そうなの······しかも重症。鼻水とかは勿論、肌荒れも酷くてね。すっごいケアしてる」 「へぇ······確かに西村さん、すごい肌綺麗だもんね。いつもケアしてるんじゃないの?」 「······わかってくれる!?何か梓って、男なのに女の子の事情もわかってくれるから嬉しい。梓みたいな人と付き合いたい。」 笑いながらそう言う西村さんに、戸惑ってしまった。女の子からそんな事を冗談でも言われたことがなかったから。 「まあ、あんたはあの人一択だろうけど!あの人からあんたを奪うなんて絶対無理。怖くて逃げるわ」 「志乃は怖くないよ。」 「そんな事言えるのはあんただけよ」 場所を移動して、西村さんの好きだというお店に来た。女の子の買い物に付き合うのは初めてで、どうするのが正解なのかわからない。 「これ、可愛い······」 そう言って西村さんが俺の前に服を見せてきた。確かにそれは可愛くて、うんうんと頷く。 「それ可愛いですよねえ。よかったら試着してみてくださいね!」 そんな時、店員さんがやって来て、西村さんに話し掛けた。西村さんは「試着してもいい?」と俺に申し訳なさそうに聞いてくる。 「勿論いいよ。俺もそれ着てる西村さん見たい。」 「あんたって本当······そんなんだから槇村に狙われたのよ」 「じゃあ試着しなくていいの?」 「嫌。着てくるから待ってて。」 店員さんに連れられて試着室に行く西村さん。俺も後を追って、試着室の前で待っていた。

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