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第2話

「さっきまでは花なんて一輪も咲いてなかった……それがこんなに咲いててしかも綺麗。」 倫太郎の話し方も普段なら“俺”と言う所、“僕”と言っていたし表情や仕草もいつもと違っていた。 まるで出会った頃の倫太郎のようだった―――――。 勢いよく振り返り、急いで室内に戻り自分の机の上のカレンダーを見た。 『2017年3月14日』 「夢?現実?」 自分の頬をつねりながら卓上カレンダーを持ちあげた。 過去にいる自分に驚きを隠せない有栖川。 「こりゃ、夢だな。絶対に…おーい。寝ている俺、起きた方がいいんじゃない?現実世界の倫太郎を抱いた方が良い気がする。こりゃ倫太郎不足だな。」 …… …… 天井に向かってボソッとつぶやくも状況は変わらない。 それどころか――――― 「あ、あ、有栖川先生、大丈夫ですか?」 授業を終えた他の社会科の教員が声を震わせながら不審者を見るようなまなざしで、有栖川を見ていた。 「あはは。大丈夫です。ちょっと睡眠不足かなぁ。」 有栖川はそう言いながら、机の上の教科書を適当に持ちながら準備室を後にした。 いったい自分の身に何が起きたのか、有栖川は考えた。 せっかくのホワイトデーだって言うのに、倫太郎と一からやり直しなんて信じられない。 いっそ何もかもすっ飛ばしてしまおうかと考えていると「先生!?アリス先生!!いたぁ!!」大きな声で自分の名前を呼ぶ生徒が二人。 大きく手を振りながら小さくジャンプをしている。 「何?今ちょっと忙しいんだけど。」 「全然忙しそうに見えないからだめぇ。ちょっとあたしたちに付き合ってよぉ。」 「え、拉致られるの?俺。他に授業あるんだけど。」 「はいそんなのうそぉ!先生の授業はちゃんと確認済みですからねぇ。」 「えぇ。ストーカーじゃん。」 生徒たちは、有栖川の両側に並び両腕を抱えるとそのままどこかへ連れて行ってしまった。
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