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第98話
少し歩くと車道に出る。左に上るか、右に下るかといった所だ。車はたまにとおるが、概ね静かで鳥の鳴き声が爽やかだ。
「右に下ると街に出るんです。街といっても、全然都会じゃなくて、ドラックストアとか、ファミレスとか、あと美味しいレストランもあるにはあるんですけど…あとスーパーと、コンビニかなぁ」
アレクが苦笑する。
「結構いろいろあるんだね」
「うーん、俺からしたらまだまだかな、それに遠いから車じゃないととても…」
やれやれと肩をすくめる。
「そうなんだ、こっちは?」
「あ、そっちは住宅が少しあって、あと公園があります。あと山と墓地…あはは」
「墓地?」
「あ、もしかして怖いのだめですか?秋彦様」
「ちょっと…ははは」
ひきつり笑いをからかわれる。
「まぁ、墓地はともかく、公園は綺麗なのでオススメします」
「ふーん、じゃあ行ってみようかな」
「ご案内します!」
ふと視線を感じて振り返ると、屋敷の窓辺に人影が見えた気がした。
「秋彦様?大丈夫ですか?」
「あ、うん」
首輪を取って、持ってきた茶色のショルダーバッグに入れた。
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