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第376話

「演劇部員は余分にチケットをいただいています。陽毬様の分は俺が取り置きしているのでどうぞ」 渡された便箋型の封筒には、前売りの入場券が2枚分入っていた。 喉から手が出るほど欲しかったものだ。 「い、い……いいんですか!? えっと、お金払いますからっ」 「ゲスト席でご用意しているのでお金は結構です。受け取ってくれて俺も嬉しいです。興味がないと突き返されたらどうしようかと悩んでいました」 「そんなことしないです! 夜霧先輩はどんな役で出るんですか?」 陽毬はわくわくしながら問いかけるけれど、教えてもらったら当日の楽しみが半減するかもしれないので、答えを聞こうか迷ってしまう。 うんうんと唸る陽毬の耳に、夜霧は「本番までの秘密です」と囁いた。 「夜霧先輩。ありがとうございま……」 背後のほうが何やら騒がしくなってきて、陽毬は振り返る。 風紀委員達の制止する声を無視して向かってくる2人に、夜霧は荒い言葉を投げた。
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