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第9話

 軟膏を塗りたくり、何度も蕾を指先で撫でほぐしていくと、次第に焦れてきたのか、淳の腰がいやらしく揺らめく。  それでも丹念にそこを優しく開いていくと、入り口のあたりや奥を指先で触れるたびに、涙を目尻に溜めながら小さな声を漏らして喘ぎ出した。 「淳くん、可愛いね」 「高遠、さんっ、前、前も触って」 「いいよ、あとはどこがいい?」  可愛いおねだりに口元を緩めると、雅之は淳が望むままに快楽を与えていく。彼の身体は彼の性格そのままに従順で、与えれば与えるほどに淫らになっていった。  それが自分の手によるものだと思えば思うほど、興奮を覚えずにはいられなかった。 「んっ……やっ、強くしないで、駄目」  指で中を優しく弄り、勃ち上がった熱をゆるゆると撫で上げれば、身体をぴくぴくと震わせて淳は快感を追い始める。  その姿を見下ろして、雅之は無意識に捕食者のように舌を舐めてしまう。  正直何度か淳で想像したことはあったけれど、それを遥かに超えるいやらしさが目の前にはあった。  男であることが問題だと、そう思っていた最初の気持ちはどこへ行ったのだろうかと雅之は口を歪める。  だが考えるだけ無駄なような気もした。  彼を想像して自慰をする時点で、そんなことは問題ではなくなっている。  なんとなく自分に、ブレーキをかけたかっただけなのではないかと、腕の中で乱れる淳を見下ろし雅之は自嘲した。 「淳くん、中、入れてもいい?」  いつの間にか三本もの指を飲み込んでいた蕾は、押し拓かれ、軟膏が溶け出し、とろとろと指にまとわりついてくる。その奥を想像して雅之の喉が鳴った。 「な、か? あっんっ……あっ」  指で中をかき回しているうちに、また淳の身体がびくりと跳ね、雅之の手が白濁で濡れる。けれどもう何度も吐き出し、だいぶその量も減ってきた。  幾度も与えられる快楽に淳の息が乱れて、熱くなってくる。

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